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【第23回】社会人でも教育ローンを利用できる!メリット・デメリットや選び方を解説

掲載:2021年04月12日/更新:2025年09月09日
社会人でも教育ローンを利用できる!メリット・デメリットや選び方を解説
社会人になってから大学院進学や海外留学、資格取得に向けた勉強を志す方は少なくありません。一方、資金不足がネックになって踏み出せない場合もあるのではないでしょうか。社会人が学びのための資金を用意する方法は複数あり、教育ローンもそのひとつです。
この記事では、社会人の自己実現に必要な資金を準備する方法や教育ローンのメリット、注意点などについて解説します。

この記事は約12分30秒で読むことができます。

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    1 リスキリングが注目され、社会人学生が増えつつある

    リスキリングとは、新しく生まれる職業や仕事に必要な技術の変化に対応できるために必要なスキルの習得を指します。
    最近では、DX(デジタルトランスフォーメーション)によって、ビジネスや生活の在り方そのものが変化しつつあります。こうした変化に対応する手段として、リスキリングが注目されるようになっています。
    リスキリングは新しいスキルを取得するものであるため、社内での昇進を目指す人だけではなく、将来的に独立を考えている人や副業を見据えた資格取得、MBAの取得を目指す人などが行っています。
    現在、社会の変化のスピードは昔とは比べものにならないくらい早くなっており、その変化に対応することと合わせて、個人が今後も成長していく過程においても、新しい技術や知識の習得が必須となっている状況です。
    企業においても、従業員のスキルアップを支援する研修や教育プログラムが整備されているケースも見られます。例えば、日本を代表するIT企業の一つ「富士通」では、デジタルトランスフォーメーション人材の育成を企業改革の柱の一つと位置づけ、全社員を対象に最先端スキルの習得を促すオンライン教育プログラムを提供しています。
    このように、勤務先の企業でリスキリングに対する取り組みが用意されていればいいのですが、そのような環境ではない場合には自分でまとまったリスキリング費用を準備しなければなりません。

    2 学び直しに必要な資金を調達するおすすめの方法

    学び直しに必要な資金を調達する場合の一般的な方法が、貯蓄から捻出する方法です。しかし、誰もが余裕を持った貯蓄ができているとはかぎりません。
    学び直しに必要な資金が手元にない場合は、以下の方法での調達が可能です。

    2-1 全日制の学校への入学・留学を考えるなら「奨学金」

    学び直しのために全日制の学校への入学もしくは留学を考えるなら、奨学金の利用がおすすめです。

    奨学金と聞くと、日本学生支援機構が行っている奨学金を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ほかにも学校や民間団体、地方公共団体などの組織が奨学金制度を設けています。

    奨学金には、返還不要の給付型と、卒業後に返還が必要な貸与型に分けられ、採用基準は給付型のほうが厳しい傾向にあります。

    また、誰でも利用できるわけではなく、所得基準、学力基準のほか、申込期限が決められているといったデメリットがある点に注意しなければなりません。

    社会人向けの奨学金制度も用意されていますが、奨学金制度の多くは学生を対象としており、社会人が奨学金制度を利用するにあたっては申込条件を事前に確認しておきましょう。

    特に、年齢制限や英語力などが申込条件に含まれているケースもあります。例えば、アメリカへの留学を支援する「フルブライト奨学金」では、TOEFLスコアの提出が求められます。

    このように制度ごとに条件が異なるため、利用を検討する際は事前に要件をしっかり確認しましょう。

    2-2 社会人として仕事しながら学ぶなら「教育ローン」

    社会人として働きながら学び直しを考えているなら、教育ローンの利用も選択肢として挙げられます。

    社会人ともなるとさまざまな生活状況があり、子育てや住宅購入といったライフイベントによって、学び直しにあてる貯蓄がないケースもあるでしょう。だからといって貯蓄が準備できるまで待っているわけにもいかないのも現状です。

    学び直しを早めにスタートしたいと考えているなら、教育ローンの利用を考えてみましょう。教育ローンを利用することで、一時的に資金が減ることを防ぐことができ、家計に与える影響も少なくなります。

    教育ローンには、国が提供するローン(国の教育ローン)と銀行などが提供する民間の教育ローンの2種類があります。それぞれで、利用できる要件や借りられる金額が異なりますので事前に確認しておきましょう。

    ただし、教育ローンはローンという特徴から、借り入れた額に利息をつけて返済しなければなりません。そのため、借りる際には無理なく返済できる額に留めることを意識しておくことが大切です。

    2-3 返済がいらない資金調達方法を探しているなら「教育訓練給付金」

    奨学金(貸与型)や教育ローンの利用は、後に返済義務が発生します。そのため、後になって返済が負担に感じることもあるでしょう。そのようなケースを防ぐためには、返済の必要がない「教育訓練給付金」の利用を検討しましょう。

    教育訓練給付金とは、働く人々の主体的な能力開発やキャリアの育成を支援するとともに、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的とし、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了した際に、受講費用の一部が支給される制度です。

    教育訓練給付金を利用するメリットは、学力基準や所得基準などの制限が設けられていない点です。被雇用保険者期間が通算で2年以上あるなどの条件を満たせば誰でも利用できます。

    教育訓練給付金制度には、「専門実践教育訓練」「特定一般教育訓練」「一般教育訓練」の3種類があり、それぞれ、支給額や要件が異なります。また、教育訓練給付金制度を利用するためには、受講前に申請が必要なことも覚えておきましょう。

    2-4 会社の「リスキリング支援制度」を利用する方法もある

    会社によっては、従業員のリスキリングをサポートする研修やプログラムを実施しているところもあり、中には社外研修の費用も補助の対象としているケースもあります。

    スキルアップを目指す従業員のために、週3日の勤務や研修の参加に合わせた時短勤務などの制度を設けている会社もありますので、勤務先の会社の制度を一度確認してみることをおすすめします。

    もし、勤務先にリスキリングを支援する制度がない場合には、経済産業省や厚生労働省、文部科学省などが行っている支援事業を利用する方法も有効です。

    例えば、経済産業省では「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」などを行っており、受講費用の一部が助成されます。

    3 学び直しに必要な資金を調達するおすすめの方法

    社会人のキャリアアップに必要な資金をまかなう方法を具体的に解説します。

    3-1 給付型の奨学金

    給付型の奨学金は、国や地方公共団体、民間団体などが学びを支援する目的で返済の必要がないお金を支給する仕組みです。国内の大学・大学院への進学に関しては、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度が広く利用されています。

    また、海外留学を支援する給付型奨学金制度も数多く存在します。例えば、日米両政府が共同で実施している「フルブライト奨学金」やイギリス政府が運営する「チーヴニング奨学金」は、特に知名度の高い制度です。加えて「埼玉発世界行き奨学金制度」のように、自治体が独自に実施している制度もあります。

    企業に勤めながら利用できる制度も一部ありますが、多くは学生を対象としているため、募集要項や応募条件をしっかりチェックしましょう。

    奨学金の給付額や給付期間、対象となる国や地域は制度によって異なります。自分が希望する地域や進学先に利用可能な制度があるかを確認し、積極的に検討しましょう。

    ただし、海外留学向けの奨学金は主にグローバル人材育成を目的としているため、年齢や最終学歴に制限がある場合も珍しくありません。一般的に、大学や大学院で問題なく学習できる程度の英語力が求められます。

    以下に、具体的な海外留学向けの給付型奨学金の例を紹介します。

    3-1-1 フルブライト奨学金(2026年秋学期 大学院留学プログラム)

    • 採用人数:約20名(大学院博士論文研究プログラムを含む)
    • 対象者:大学院在籍者、または社会人として培った経験・知識を大学院レベルの勉強に活かせる方(※2026年度より学士号取得見込み者も対象)
    • 給付期間:1年目は原則として12カ月、2年目は要審査
    • 給付額:1年目の授業料は全額支給。2年目からは授業料・生活費などを含め、2万5,000ドルが上限、3年目以降の更新はなし
    • 英語力:TOEFL iBT 80点以上、またはIELTS6.0以上

    3-1-2 日本学生支援機構(JASSO)海外留学支援制度(大学院学位取得型・2025年度)

    • 奨学金月額:15万4,000円~35万6,000円(留学先の国や地域によって異なる)
      ※新規採用者には、支援開始時に渡航支援金16万円を別途支給
    • 授業料:実費支給(留学に必要な経費を含めた上限1,000万円)
    • 支援対象外:支援期間開始時に企業に雇用されている人
    • 英語力(英語圏留学の場合):TOEFL iBT 95点以上、またはIELTS 6.5以上
    • 年齢制限:修士課程は35歳未満、博士課程は40歳未満

    3-2 大学が設けている奨学金

    大学の奨学金は、経済的な理由で学びが困難な学生を支援するための制度です。多くの大学・大学院が奨学金制度や学費免除制度を設けています。進学のために退職して収入がなくなる方には大きなメリットがあるため、進学先の制度を調べておきましょう。

    夜間や通信課程など、在職中でも学べる奨学金制度が用意されていれば、仕事を続けながら利用できます。また、専門職大学院(MBA取得など)や通信制大学でも、社会人向けの給付型奨学金や学費減免制度を設けているケースがあります。利用を検討する際は、制度の対象や利用条件だけでなく、申請方法や締切などの詳細もあわせて確認しておきましょう。

    以下では、社会人を対象とした奨学金制度の例として、大阪経済大学と名古屋学院大学の制度を紹介します。

    3-2-1 大阪経済大学の勤労学生奨学金

    以下の基準を満たす学生のみ応募可能
    1. 第2部に在籍すること(休学は除く)
    2. 家計が学資支弁に困難であること
    3. 健康にして、人物、学業成績とも良好であること
    4. 正社(職)員であるか、またはそれに準ずる勤労をしていること
      ※在職証明書の提出が必要
    給付額:年間授業料相当額の半額

    ※原則として返還義務なし

    3-2-2 名古屋学院大学の社会人学費減免制度

    • 対象:社会人入試において入学された方(※全学科に適用が可能)
    • 減免金額:当該学部・当該年度における各学部授業料の半額相当額
      ※毎年申し込み手続きを行えば4年間減免を受けることが可能

    3-3 教育訓練給付

    雇用保険法に基づいて社会人のキャリア形成を支援する制度です。厚生労働大臣の指定を受けている講座を受講して修了した場合に、本人が支払った費用の一部をハローワークが負担します。一定の条件を満たす在職者や離職者が制度の対象です。

    教育訓練給付は後払い制で、いったんは資金を自分で用意しなければなりません。一般教育訓練給付、特定一般教育訓練給付、専門実践教育訓練給付の3種類があり、利用条件や支給割合、支給上限額は以下の表のとおりです。また、教育訓練経費の支給割合の額が4,000円を超えない場合は対象外です。

    区分 一般教育訓練給付 特定一般教育訓練給付 専門実践教育訓練給付
    支給対象 ・資格取得を目標とする講座
     ・大学院などの課程
    ・業務独占資格などの取得を目標とする講座
     ・デジタル関係の講座
     ・大学など、専門学校の課程
    ・業務独占資格などの取得を目標とする講座
     ・デジタル関係の講座
     ・大学院、大学、短期大学、高等専門学校の課程
     ・専門学校の課程
    支給割合 受講費用の20% 受講費用の最大50% 受講費用の最大80%
    支給上限額 10万円 上限25万円 上限(年間)64万円

    3-3-1 一般教育訓練給付

    一般教育訓練給付金の対象となる講座数は、2,664講座(2025年4月1日時点)で、簿記や英語技能、プログラミングやwebデザイナーなど多くの種類があります。

    通学だけでなく、通信講座なども用意されているため、TOEICやプログラミングなどを隙間時間に学習することで資格を取得できます。

    3-3-2 特定一般教育訓練給付

    特定一般教育訓練給付の対象となる講座は、1,016講座あり(2025年4月1日時点)、新たに介護支援専門員実務研修や大型自動車第一種免許の取得など231講座が追加されました。

    宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーなどの国家資格も対象となっており、キャリアアップ効果の高い資格が取得可能です。

    3-3-3 専門実践教育訓練給付

    専門実践教育訓練給付金の対象となる講座は、3,220講座あります(2025年4月1日時点)。また、2025年4月1日からデジタル技術を育成する講座や、専門職学位を取得する課程のほか、看護師などの資格取得を目標とする養成講座が新たに指定されました。

    専門そして実践ということからも、介護や看護、保育士のほか、IT関連や建築など、長期かつ実践的な講座が用意されている点が特徴です。

    3-4 教育ローン

    キャリアアップのために教育ローンを利用する方法です。給付型奨学金や給付金とは違って借りたお金を返済しなければなりませんが、利用条件は給付型少額金や給付金と比較すると緩やかに設定されています。教育ローンには「国の教育ローン」と「民間の教育ローン」の2種類があり、それぞれで特徴が異なります。

    どちらもローンですので、審査に通らなければ利用できません。

    特に民間の教育ローンの審査では、収入の安定性や勤続年数、信用情報などがチェックされます。特に退職後に申込む場合は収入がないことから、「返済能力がない」とみなされるケースもあるため、できるだけ在職中に申込むほうが安心です。

    また、国の教育ローンと民間の教育ローンどちらも、在学中は利息のみの返済でよいとする「据置制度」が儲けられている商品が多くみられます。在学中の返済に不安があるなら、据置制度を設けている商品を選ぶようにしましょう。

    下表に国と民間の教育ローンの違いをまとめたので、確認してみましょう。

    国の教育ローン 民間の教育ローン
    借入可能額 350万円
     (一定の条件を満たす場合は450万円)
    金融機関によって異なる
     (300万円~1,000万円など)
    金利 2.850%(固定金利、2025年8月時点) 金融機関によって異なる
     (1.000%~5.000%の範囲内が多い)
    借入方法 必要な額を一括で借り入れ 一括もしくは必要の都度借り入れ(学校に直接支払われるケースもあり)

    それでは、各教育ローンの特徴を詳しく見ていきます。

    3-4-1 国(日本政策金融公庫)の教育ローン

    国の教育ローンは、法律に基づいて日本政策金融公庫が提供しているローンです。学びのための資金を低金利で借りられますが、利用できる世帯年収には上限があります。例えば、扶養している子どもが1人の場合では世帯年収790万円以下の方しか利用できません。

    金利は年2.850%(2025年8月時点)の固定金利で、融資の上限額は350万円です。ただし、大学院進学や海外留学などの目的だと450万円まで融資が受けられます。基本的に中学卒業以上の子どもを進学させる保護者が制度の対象です。ただし、成人していて収入があり独立して生計を営んでいる方は自分で申込みができます。学生本人が利用する場合、世帯年収の上限額は給与所得者で790万円、事業所得者で600万円です。

    学業に専念するために退職すると、安定した収入がないとみなされて審査のハードルが上がります。原則として連帯保証人を立てる必要がある点にも注意しましょう。

    3-4-2 民間の教育ローン

    民間の教育ローンは、銀行や信用金庫、労働金庫、JA(農業協同組合)などが提供するローンです。塾代や予備校代、生涯学習のための教育資金など、学びに関係する幅広い用途に利用できます。

    安定した収入がある方が対象で、住宅ローンなどに比べると金利が低めに設定されています。申込みの条件や金利、使い道、融資方法などは金融機関によって異なるため、自分に合った教育ローンを選びましょう。ここでは、りそな銀行の「りそな教育ローン(自己啓発プラン)」を紹介します。

    3-4-3 りそな銀行・りそな教育ローン(自己啓発プラン)

    生涯学習・資格取得のために各種学校に支払う資金を融資します。融資限度額は最高300万円、融資期間は最長5年です。

    金利 変動金利年2.875%~年4.875%(2025年8月時点)
    融資方法 証書貸付型(契約時に一括融資)
    対象 満20歳以上満66歳未満で安定した収入がある方
    返済方法 毎月元利均等返済

    口座開設必須

    4 社会人が教育ローンを利用するメリット

    社会人が教育ローンを利用するメリットについて解説します。

    4-1 資金が少ない方でも学ぶ機会が得られる

    メリットの1つ目は、手元にまとまった資金がなくても学ぶチャンスが得られることです。例えば、アメリカに留学する場合、3カ月の短期留学にも学費や生活費、渡航費などで40万円~120万円ほどかかるケースが一般的です。

    教育ローンを利用すれば費用の全額または一部を借りられるため、少ない自己負担で留学できます。夢を実現するために勉強したいと思っている社会人は、教育ローンの利用を検討してみてください。

    「貯金してから留学しよう」と思っていると実行までに時間がかかり、モチベーションが低下したり学ぶチャンスを逃したりする可能性もあります。年齢が上がると、仕事や家庭の事情で学び直しの時間を確保しにくくなるケースも珍しくありません。教育ローンを利用すれば学びたいタイミングで決断できるため、チャンスを逃さずに済みます。

    4-2 学力を問われないためハードルが低い

    メリットの2つ目は、教育ローンの利用条件に学力が含まれないことです。給付型の奨学金は、成績が優秀でなければ受給できません。特に海外留学向けの奨学金では英語力が必須です。教育ローンは安定した収入があれば学力とは無関係に申込めるため、利用のハードルは低めです。語学研修のための留学資金を調達したい場合などには教育ローンが向いています。

    利用条件に学力は問われませんが、年収や雇用形態のほか、クレジットカードの履歴といった信用情報がチェックされます。教育ローンの中には収入や勤務年数の条件を設けているものもありますので、検討する際には申込条件を必ず確認しましょう。

    4-3 フリーローンよりも金利が低い

    メリットの3つ目は、教育ローンの金利が低めに設定されていることです。

    使い道が限定されないフリーローンを学びのために利用する手もありますが、使い道が教育資金に限定されている教育ローンのほうが金利は低めです。実質年率が2%を下回る教育ローンも少なくありません。ただし、教育ローンの利用ではお金の使い道を証明する必要があり、学生証や在学証明書、授業料の納付書などの提出が求められます。

    実際の金利は審査結果によって決まる点にも注意が必要です。変動金利を採用している教育ローンは1.300%~2.400%などのように幅を持たせた設定になっていますが、下限金利が適用されるとはかぎりません。基本的に、融資額が少ない場合やはじめての利用では、上限に近い金利が適用されます。

        

    4-4 返済期間を柔軟に設定できる

    多くの教育ローンでは、返済期間を5年~10年など柔軟に設定できます。

    また、在学中は元本の返済を据え置き、利息だけを支払えばいい「元本据え置き型」のローンもあります。卒業後は元本と合わせての返済が始まるものの、仕事量を減らしながら通学する場合には受講中の返済負担を抑えられるため、家計に負担をかけずにスキルアップが目指せます。

    4-5 社会人向けのプランが充実している

    銀行や信用金庫の中には、社会人の学び直しに特化した教育ローンを用意しているところもあります。

    例えば、りそな銀行が提供している「自己啓発プラン」では、資格の取得やキャリアアップのための講座受講料などに使える内容になっており、商品によっては申込む際に学生証が不要なケースもあります。

    5 社会人が教育ローンを利用する場合の注意点

    社会人が教育ローンを利用する際に知っておきたい3つの注意点について解説します。

    5-1 すべての学校や教育費用に使えるわけではない

    注意点の1つ目は、学びに関係している費用であっても教育ローンが使えないケースがあることです。例えば、免許を取得するための自動車学校は対象外になるケースがほとんどです。資格取得ができる通信教育は、ローンによって扱いが大きく異なります。

    先に紹介した「りそな教育ローン(自己啓発プラン)」は、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座に該当するなどの条件を満たす学校のみが対象です。一方、千葉銀行の「スーパー教育ローン(証書貸付型)」は、自己啓発費用を含む広い用途に利用できます。教育ローンを利用する際には、どのような目的に使えるのかを事前にチェックしておきましょう。

    5-2 退職・休職に注意!安定した収入があることが条件

    注意点の2つ目は、安定した収入のある方を利用の対象にしていることです。正社員は審査の評価が最も高くなりやすく、無職の方や収入がない専業主婦などは利用できない場合がほとんどです。年収の目安は200万円~300万円程度で、通常1年~2年以上の勤続年数が求められます。

    通学や留学で休職・退職すると審査のハードルが上がるといわれています。収入がなくなる場合や自分の想定どおりに再就職できない可能性も皆無ではありません。教育ローンも借金には変わりないため、綿密な返済計画を立てるとともに無理のない利用を心がけましょう。

    教育ローンによっては、ボーナス返済が可能なものや、繰り上げ返済手数料を不要としているものもあり、返済方法の柔軟性に違いが見られます。

    そのため、将来の収入増加や転職の可能性を見越して、返済計画に調整の余地がある教育ローンを選ぶことも大切です。

    5-3 審査があるため必ず利用できるとは限らない

    注意点の3つ目は、審査を通らなければ利用できないことです。国の教育ローンは利用できる世帯の年収に上限があるため、一般的な正社員よりも年収が高い方は審査を通らない可能性があります。一方、民間の教育ローンでは基本的に安定した収入が求められ、金融機関が設定した基準よりも収入が少ない方は審査にとおりません。

    教育ローンに限らず、ローンに落ちた事実は記録に残ります。複数のローンに申込み、審査落ちを繰り返すと将来必要な融資が受けられない可能性が高まります。民間の教育ローンに通る見込みがない方は、国の教育ローンを検討してみてはいかがでしょうか。世帯年収200万円以内であれば、金利2.850%(2025年8月時点)、返済期間最長20年の優遇措置が受けられます。

    教育ローンの審査では、収入や雇用形態、勤続年数のほか、現在の借入状況などもチェックされます。そのため、現在住宅ローンや車のローン、カードローンなどを利用しており、借入残高が多い場合は審査に通らない可能性が高まります。

    信用情報もチェックされるため、延滞などの信用事故情報が登録されている場合も要注意です。また、信用情報には「ローンに申込んだ」という情報も登録されるため、あまりにも短期間に複数のローンに申込むと審査に不利になってしまいます。

    5-4 返済中のライフイベントに注意する

    教育ローンの返済は5年~10年以上の長期間にわたるケースもあるため、将来のライフイベントを考慮した返済計画を立てることが重要です。

    ライフイベントが重なると、その分返済額も多くなり、家計に負担がかかってしまいます。

    例えば、今後住宅の購入や車の購入を控えている場合や、子どもが産まれることにより生活費が多くなる可能性があるなら、教育ローンの返済額をできるかぎり抑えておくほうが安心です。

    また、転職や独立による収入の変化も、可能性として視野に入れておく必要があります。

    複数のローンの返済は、毎月の支払いが家計に負担をかけるおそれがあるため、教育ローンを利用する際には、今後のライフイベントを考慮した無理のない返済計画を立てるようにしましょう。

    6 社会人向けに教育ローンの選び方を解説

    教育ローンを選ぶ際には、借入方法や金利、申込方法などがポイントになりますが、それぞれどの点に着目すればいいのでしょうか。向いている方についても紹介しますので、参考にしてください。

    6-1 選び方1:借入方法

    借入方法には、証書型といわれる初回に一括借り入れてあとは返済するだけの方法と、借入可能額の範囲内で必要額を都度借り入れるカードローン型の2種類があります。

    それぞれの借入方法のメリット、デメリットは以下のとおりです。

    メリット デメリット
    証書型 ・カードローン型に比べて金利が低く、返済総額を抑えられる
     ・まとまった収入があった際には一括返済も可能
    ・審査の結果によっては希望する額を借り入れられない場合がある
     ・返済期間がカードローン型よりも短く設定されるため、家計の負担になる可能性がある
    カードローン型 ・借入可能額の範囲内で、必要な資金を都度借り入れられる
     ・返済期間が証書型よりも長く設定できるため、家計への負担を抑えられる
     ・急な支出にも対応できる
    ・証書型よりも金利が高いため、借入期間によっては利息負担が大きくなる可能性がある
     ・計画的に利用しないと使いすぎる可能性がある

    証書型は入学時の費用など一時的な費用を借り入れる方に向いており、カードローン型は限度額の範囲内で不足する額を都度調達したいと考えている方に向いています。

    6-2 選び方2:金利

    金利には固定金利と変動金利があり、それぞれに以下のようなメリット・デメリットがあります。

    メリット デメリット
    固定金利 ・返済開始から完済まで毎月の返済額が変わらないため、将来にわたって返済計画が立てやすい ・変動金利に比べ、金利が高めに設定されている
     ・金利下降局面での恩恵が受けられない
    変動金利 ・固定金利よりも低い金利が適用される
     ・金利下降局面ではさらに低い金利が適用される可能性がある
    ・金利が上昇すると、見直しによって返済額が増加する可能性がある

    固定金利は返済額を一定にした返済計画を立てたいと考えている方に向いており、変動金利はできるだけ低い金利で金利負担を抑えたいと考えている方、もしくは金利が上昇した際には一括で返済できるだけの資金がある方に向いています。

    また、金利だけでなく、「実際にどの金利が適用されるか」をチェックすることも大切です。多くの教育ローンでは、金利に幅を持たせており、審査結果によって最終的な適用金利が決まる仕組みになっています。必ずしも最低金利で利用できるわけではない点を心に留めておきましょう。

    6-3 選び方3:申込方法・手続き

    申込方法は、金融機関によってさまざまですが、インターネットや郵送、もしくは店舗窓口が用意されています。社会人だとなかなか平日の昼間に時間を取ることは難しいため、できるだけインターネットを利用した申込みがおすすめです。

    インターネットを利用すると、時間を気にせず申込みが可能です。ただし、契約までインターネットで完結できるのか、契約時には来店の必要があるのかについても確認しておきましょう。平日の昼間に時間がとれないなら、契約までインターネットで完結できる金融機関がおすすめです。

    郵送は金融機関に来店しなくても、書類を送るだけで申込みができるため、比較的楽な申込方法です。インターネットでの申込みに抵抗がある方に向いていますが、書類に不備があると再度返送しなければならないなど手間が発生しますので、郵送での申込みを利用する際には、記載内容に不備がないか確認することを忘れないようにしてください。

    平日の昼間に時間がとれるなら、店舗窓口に来店して申込みを行いましょう。窓口での申込みなら、書類に不備があってもその場で修正ができますので、スムーズな申込みができます。また、来店だと相談しながらの申込みが可能ですので、相談したいことがあるなら来店での申込みをおすすめします。

    6-4 選び方4:返済期間と据え置き制度の有無

    一般的に返済期間を長くするほど、毎月の返済額は抑えられますが、その分利息の負担は大きくなります。また、利用する教育ローンの返済方法が「元利均等返済」か「元金均等返済」の確認も大切です。

    社会人でも、在学中に収入が減る、もしくはゼロになる可能性もあるため、利用しようとしている教育ローンに「据え置き制度」があるかどうかもチェックしておきましょう。

    6-5 選び方5:保証人や保証料の有無

    日本政策金融公庫が提供している国の教育ローンでは、原則として連帯保証人が必要です。ただ、連帯保証人を立てるのが難しい場合には、保証機関を利用し保証料を払う方法も用意されています。

    逆に民間の教育ローンでは、保証機関の利用が前提となっており、保証料は金利に上乗せされるため、保証人を立てずに利用できる点が特徴です。

    もし、家族や親族に保証人を頼みにくいと感じている方や、申込みから融資までの手続きをスムーズに終わらせたい方には、保証人が不要となっている教育ローンがおすすめです。

    6-6 選び方6:増額・追加借入のしやすさ

    教育ローンには、カードローン型と証書貸付型があります。

    カードローン型とは、借入限度額が設定されており、その範囲内であれば、いつでも借り入れ、返済できる仕組みです。それに対し、証書貸付型は最初に必要な額を一括で借り入れ、返済を行います。

    証書貸付型の場合、追加で借り入れようと思ったときには、再度申込み、審査を受けなければなりません。

    今後、急な出費や予定外の利用延長(留学延長)などが予定されているなら、途中で増額が可能かもチェックしておきましょう。

    自己研鑽のために使う費用を教育ローンで調達しよう

    社会人で大学院進学や海外留学、資格取得の費用が不足している場合は、教育ローンの利用を検討しましょう。社会人にとって奨学金のハードルは高く、教育訓練給付は後払い制です。教育ローンなら手元にまとまったお金がない方でも比較的柔軟に利用でき、必要な費用を調達できれば夢を諦めずに済みます。

     社会人が利用できる教育ローンにはさまざまな種類があるため、自分の目的に合ったローンを選びましょう。

    Q & A

    Q.学び直しに必要な資金を調達する方法とは?

    民間団体や自治体が行っている奨学金制度を利用する方法や、教育ローンのほか、厚生労働省が行っている教育訓練給付金を利用する方法もあります。

    Q.奨学金と教育ローンの違いは?

    奨学金には所得基準や学力基準などの制限がありますが、教育ローンはそのような制限がありません。ただし、教育ローンを利用する場合は借り入れた額に利息をつけて返済しなければなりません。

    Q.社会人が教育ローンを利用するメリットとは?

    スキルアップに必要な教育資金が手元にない場合に、教育ローンを利用することで学習するタイミングを逃すことなく、また早めに学習を始められる点がメリットです。

    Q.教育ローンの選び方とは?

    申込方法や借入方法、さらには金利などの条件を比較して選ぶことがポイントです。特に社会人の場合、平日の昼間に時間が取れない方が多いため、インターネットで申込みから契約まで完結できる金融機関を探すことをおすすめします。

    Q.退職・休職しても教育ローンを利用できる?

    教育ローンの申込条件には、「安定継続した収入があること」と記載されているケースがほとんどです。そのため、退職や休職の場合だと安定した収入がないとみなされ、審査にとおらない可能性があります。

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    教育ローンに関するよくある質問

    ここからは教育ローンについてよくある質問について、その回答と合わせて紹介します。

    教育ローンにはどんな種類がある?
    民間の金融機関が提供する「民間の教育ローン」と、日本政策金融公庫が提供する「国の教育ローン」の2種類あります。国の教育ローンは民間の教育ローンより金利は低く設定されている一方で利用条件を満たさないと利用ができません。民間の教育ローンは借入可能額の上限が高い金融機関もあるため、用途に合わせて申込みを検討しましょう。
    教育ローンの金利相場はどのくらい?
    教育ローンの金利相場は約1%~4%になります。国の教育ローンは固定金利で1.95%です(令和5年5月時点)。民間の教育ローンの金利はさまざまで、固定金利か変動金利によっても異なります。キャンペーンの適用により低金利で借りられる場合もあるので、申込みの際は事前に各金融機関のローン情報を確認しましょう。
    教育ローンの審査基準とは?
    教育ローンの審査基準は、契約者に返済能力があるかを重視されるのが一般的です。金融機関によって審査基準は異なりますが、他に返済をしないといけない負債があったり信用情報にキズがあると審査に通りにくい可能性があります。
    教育ローンの返済方法は?
    教育ローンの返済方法は、一般的に「元利均等返済」になります。元利均等返済は、毎月の返済額が均等になるように設定されるので返済計画が立てやすいのがメリットです。返済が進むほど元金が減るので利息額は減りその分元金の返済額が増えていきます。一括返済や繰上返済を利用して利息を抑えることも検討しましょう。
    教育ローンのお金を借りるまでの流れは?
    教育ローンを利用するには、まずローンの申込みをしてから各金融機関で実施する仮審査と本審査に通過する必要があります。本審査を受けるには契約者の本人確認書類などの書類提出が必要となります。審査に通過をして契約を締結後に契約者の口座に入金がされる流れとなります。
    教育ローンを利用するには保証人が必要?
    教育ローンは一般的に保証人が不要です。理由は保証会社が保証人の役割を担っているためです。保証会社とはローンの契約者が返済できなくなった際、本人に代わり借入先の金融機関に返済を行う会社です。また、国の教育ローンも教育資金融資保証基金の保証を受ける場合は保証人は不要になりますが、保証人を立てることも可能です。
    教育ローンの借り入れまでの日数はどのくらい?
    教育ローンの申込みから借り入までの日数は金融機関によって異なります。民間の教育ローンの場合は一般的に2週間~3週間程度です。国の教育ローンは3週間から1ヵ月と民間の教育ローンよりも時間がかかるため余裕を持って申込みをするとよいでしょう。

    ライター紹介

    新井 智美
    氏名
    新井 智美(あらい ともみ)
    保有資格
    ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
    主なキャリア
    コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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