【第116回】共有名義でも不動産担保ローンを利用できる?持分のみで借り入れする方法・金額の目安を解説
ただし、自己の持分割合で評価されるため、単独名義で所有しているよりも評価額は低くなってしまいます。また、不動産担保ローンを利用する際に、金融機関によっては共有者全員の合意が必要になるなど、いくつか注意すべき点もあります。
この記事では、共有名義の不動産で不動産担保ローンを利用したい方に向け、担保にできる条件や共有名義での借入方法、注意点のほか、必要書類などを解説します。
この記事を読むことで、「自分の持分だけでも借りられるのか」、「いくらまで借りられるのか」といった疑問が解消できるほか、「ほかの共有者に影響があるか」といった内容についても理解できるため、自分に合った借入方法を判断しやすくなるでしょう。
この記事は約12分30秒で読むことができます。
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1. 共有名義の不動産を担保にする前に知っておきたい基礎知識
ここではまず、「共有名義に関する基本的な仕組み」と「不動産担保ローンに関連する知識」について解説します。
どちらも大切な内容ですので、しっかりと理解しておきましょう。
1-1 「共有名義」と「共有持分」の違い
「共有名義」と似た言葉に「共有持分」があります。この2つの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか。
共有名義とは、不動産の持ち主が1人ではなく複数人いることを指します。一方、共有持分とは、その不動産に対して各共有者が持つ所有割合のことです。
登記簿には、共有持分が「1/2」や「1/3」という形で記載されます。
共有持分は、共有者ごとに権利が分けられているため、持分のみを対象とした売却や相続が可能である点が特徴です。
ただし、共有名義の不動産は複数の所有者が関わるため、所有権の帰属や持分割合が複雑になりやすい点に注意しておきましょう。
単独名義とは所有形態が異なるという基本的な違いを、あらかじめ押さえておきましょう。
1-2 ローン担保に利用できる共有名義の不動産の条件
不動産担保ローンでは、担保とする不動産について、所有者の権利関係が明確であり、かつ担保価値を適正に評価できることが求められます。
主な条件は以下のとおりです。
- 登記簿上で所有者および持分が明確に記載されている
- 抵当権など、既存の権利関係が整理されており、担保設定に支障がない
- 不動産の状態や立地、市場価値などから担保評価が算出できる
- 違法建築でない
- 用途制限の抵触がない
などが挙げられます。
さらに不動産が共有名義の場合、「共有者全員の合意」が求められます。
共有名義であっても、持分が明確で権利関係に問題がなければ担保として扱ってもらえる可能性はあります。ただし、自分の持分のみを担保にする場合は、流動性が低いことを理由に、評価額が下がりやすい点には注意しておきましょう。
共有名義の不動産を担保に不動産担保ローンを利用する場合は、担保設定に必要となる共有者の同意の有無や、持分の評価方法について、事前に金融機関へ相談しておくことをおすすめします。
2. 不動産が共有名義になりやすいケース
実際に、不動産が共有名義になりやすいのはどのようなケースなのでしょうか。
主なケースとして、以下が挙げられます。
- 相続
- 夫婦や親子での共同購入
2-1 相続で共有名義になったケース
相続が発生し、被相続人が不動産を所有していた場合、遺産分割が完了するまでは、その不動産は相続人全員の共有状態となります。これが、最も一般的に共有名義になりやすいパターンです。
不動産全体を売却したり、担保として設定したりする際には、原則として全員の合意が必要となり、相続人(=共有者)の人数が多いほど手続きが複雑になりやすくなります。
そのため、相続によって共有名義となっている不動産の場合、不動産担保ローンの審査や手続きの進行に影響を与える可能性があります。
2-2 夫婦や親子で共同購入したケース
夫婦や親子で資金を出し合って不動産を購入する場合も、共有名義となります。住宅ローンを利用する際にペアローンを組む場合も、同様に共有名義となるケースが一般的です。
このケースでは共有者が2人であるため、相続による共有名義と比べると手続きは比較的スムーズに進みやすい傾向があります。ただし、不動産全体を担保として提供する場合には、持分割合の確認や、相手方(配偶者、または親・子)の合意が必要になります。
この場合の持分割合は、出資額やローン返済の負担割合をもとに設定されるため、不動産担保ローンの借入可能額にも影響を与える点に注意が必要です。
3. 所有している不動産の持分割合を確認する3つの方法
所有している不動産が共有名義の場合、自分の持分割合がどのくらいなのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、不動産担保ローンを申込む前に、共有名義の不動産における持分割合を正しく把握するための確認方法を紹介します。
実際の持分割合は登記簿を見れば確認できますが、その根拠となる出資額や住宅ローンの負担状況もあわせて確認しておくことが大切です。こうした確認をおろそかにすると、担保設定だけでなく、将来的に税務上の問題へ発展する可能性もあります。
3-1 登記簿で共有者と持分割合を確認する
共有名義の不動産を担保にする場合は、まず自分の持分割合を確認しましょう。
持分割合は、不動産登記簿(登記事項証明書)を取得することで確認できます。担保とする不動産の所在地を管轄する法務局で取得可能です。
登記簿のうち、「甲区」には所有権に関する事項が記載されており、共有名義かどうかや各共有者の持分割合を確認できます。
あわせて「乙区」も確認しておきましょう。「乙区」には所有権以外の権利関係が記載されており、すでに抵当権や賃借権などが設定されている場合、その内容を把握できます。
3-2 購入時の出資額から持分割合を確認する
共有名義の不動産の持分割合は、購入時に誰がどのくらい負担したのかをもとに決められるのが一般的です。
夫婦や親子で不動産を購入した場合、それぞれの出資割合が持分割合の目安になります。
例えば、3,000万円の土地を親子で購入し、親が2,000万円、子どもが1,000万円を出資した場合、持分割合は親が2/3、子どもが1/3となります。
出資割合が曖昧になりやすいケースもあるため、購入時の領収書や資金計画書などを確認し、出資額を客観的に説明できるようにしておきましょう。
3-3 住宅ローンの契約内容から持分割合を確認する
持分割合は、住宅ローンの契約内容からも確認できる場合もあります。
例えば、5,000万円のマンションを夫婦でペアローンを組んで購入し、夫が60%(3,000万円)、妻が40%(2,000万円)で返済する契約の場合、持分割合は夫が3/5、妻が2/5です。
一方、収入合算(連帯保証型)で夫が主たる債務者、妻が連帯保証人となる場合は、原則として不動産は夫の単独名義となります。共有名義にしたい場合は、妻が頭金を負担するなど、出資実態を明確にする工夫が必要です。
負担割合が分からない場合は、住宅ローンの契約書や返済計画書を確認しましょう。
4. 共有名義の不動産を担保にする2つの融資方法
不動産担保ローンを利用するにあたり、共有名義の不動産を担保にして借り入れを行う方法には、主に次の2つがあります。
・共有名義の不動産全体を担保にする方法
・自分の共有持分のみを担保にする方法
それぞれの特徴や注意点を確認しておきましょう。
4-1 共有名義の不動産全体を担保にして融資を受ける方法
共有名義の不動産全体を担保にして融資を受けるためには、原則として不動産の共有者全員の合意が必要です。
不動産全体を担保にすることで評価額が高くなりやすく、比較的高額の融資を受けやすい点がメリットです。一方で、共有者全員に対する事前説明や承諾を得るまでに時間がかかる可能性があります。
また、共有者のうち1人でも反対する人がいると、不動産全体を担保として設定することはできません。
そのため、共有者同士で事前によく話し合い、全員が納得したうえで進めることが重要です。
4-2 自分の共有持分のみを担保にして融資を受ける方法
共有者全員の合意が得られない場合でも、自分の共有持分のみを担保にして融資を受けられるケースがあります。 ただしこの場合、不動産全体ではなく、あくまで自分の持分割合のみが評価対象となるため、評価額が低くなりやすく、借入可能額も限定される傾向にあります。希望する金額まで借りられない可能性も考えておいたほうがいいでしょう。
また、金融機関によっては、共有持分のみを担保とした融資に対応していない場合もあります。これは、万が一返済不能となったときに、共有持分のみを競売にかけることが難しく、貸し倒れのリスクが高まるためです。
そのため、不動産担保ローンを申込む前に、検討している金融機関が「共有持分のみを担保とした融資」に対応しているかどうかを、必ず事前に確認しておきましょう。
5. 共有名義の不動産で不動産担保ローンを借りるメリット
共有名義の不動産を担保にして不動産担保ローンを利用するにあたっては、メリットとデメリットの両方を理解したうえで判断することが大切です。
ここでは、主なメリットを2つ紹介します。
5-1 共有者に知らせず、自分の持分のみで借り入れできる(持分担保の場合)
自分の共有持分のみを担保にして借り入れを行う場合、原則として他の共有者の合意は不要です。抵当権が設定されるのは担保として提供する自分の持分のみであるため、共有者の同意を得ずに手続きを進められる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、不動産登記簿には抵当権が設定された事実が記載されるため、他の共有者が登記簿を閲覧した場合、借り入れの事実が分かる可能性があります。
急に資金が必要になった場合や、家族・親族に相談しづらい事情がある場合、また相続した不動産で共有者全員の合意を得るのが難しいケースなどでは、検討しやすい方法といえます。
なお、返済が滞った場合でも、他の共有者に返済義務が生じることはありませんが、担保権の実行によって共有関係に影響が及ぶ可能性がある点は理解しておきましょう。
5-2 専門機関のローン審査なら持分でも担保評価が出やすい
一般的な金融機関では、共有持分のみを担保とした融資を取り扱っていない、または担保評価を低く設定するなど、慎重に対応される傾向にあります。
一方で、共有持分の取り扱いに実績のある専門機関では、地域性や市場動向、持分比率などを踏まえた独自の評価方法を用いるため、共有持分であっても担保評価が出やすい場合があります。
その結果、通常の金融機関の不動産担保ローンと比べて、借入可能額が大きくなるケースも考えられます。一般の金融機関での借り入れが難しい場合は、こうした専門機関のローンを選択肢として検討してみるのも一つの方法です。
6. 共有名義の不動産で不動産担保ローンを借りるデメリット
共有名義の不動産を担保にして不動産担保ローンを利用する際には、事前にデメリットについてもしっかり理解しておくことが重要です。
6-1 対応できる金融機関が限られている
多くの金融機関では、共有持分のみを担保とする不動産担保ローンを取り扱っていません。特に、銀行や信用金庫などの一般的な金融機関では、ほとんど対応していないのが実情です。
そのため、共有持分を担保にして借り入れを行う場合は、共有持分の取り扱いに特化した専門の金融機関を検討する必要があります。
これらの専門の金融機関では、万が一返済が滞った場合でも、他の共有者との調整や不動産全体の活用などを含め、貸し倒れを防ぐための仕組みを整えていることから、一般の金融機関では対応が難しい「共有持分のみを担保とした融資」を提供しています。
ただし、共有持分のみを担保に不動産担保ローンを利用する場合、金融機関の選択肢が限られ、条件の比較がしにくい点はデメリットといえるでしょう。
6-2 共有者の合意が必要になる(全体担保の場合)
自分の共有持分のみでなく、他の共有者の持分も含めて不動産全体を担保にする場合は、共有者全員の合意が必要です。これは、他の共有者が「物上保証人」の立場になるためです。
物上保証人になると、借り入れを行った本人が返済できなくなった場合、他の共有者の持分も競売の対象となる可能性があります。また、合意を得る過程で、ローンの利用自体を共有者に知られることになります。
共有者の中には、自分の持分に抵当権が設定されることに抵抗を感じ、合意しない人もいるかもしれません。そのような場合、不動産全体を担保にすることはできず、仮に合意が得られるとしても、説得に時間がかかる可能性があります。
6-3 持分のみでは評価額が低くなりやすく、借入可能額が小さくなる
では、自分の共有持分のみを担保にする場合はどうでしょうか。
共有持分は単独では売却しにくく、市場での流動性が低いため、担保評価が低くなりやすい傾向があります。
また、返済が滞った場合の回収リスクが高いと判断されやすく、取り扱う金融機関が限られる点もデメリットです。
さらに、担保評価は共有持分に限定されるため、全体に対する持分割合によっては借入可能額が小さくなり、希望する金額まで借りられない可能性があります。
7. 共有名義の不動産はどれくらい借りられる?
実際に共有名義の不動産を担保にする場合、どのくらいの金額を借りられるのでしょうか。
ここでは、担保評価額の基本的な考え方と、共有持分の割合が融資額にどのような影響を与えるのかを解説します。
7-1 不動産全体の評価額から持分評価を算出する
担保評価額の計算については、まず不動産全体の評価額を算出し、そのうえで各共有者の持分割合を乗じて算出する方法が一般的です。
仮に1つの不動産を3人の共有名義で保有しており、自分の持分が1/3だとします。このケースで、不動産全体の評価額が3,000万円だった場合、持分評価額は3,000万円×1/3=1,000万円です。
もし2人の共有名義で、持分割合が1/2なら、1,500万円が評価額です。
ちなみに土地の評価額は「公示地価」や「路線価」のほか、「取引事例」などを用いて総合的に判断します。
建物については、固定資産税評価額を基準としつつ、築年数や状態などを踏まえて評価されるのが一般的で、経年劣化による価値の減少も反映されます。
7-2 持分のみを担保にすると評価額が低くなりやすい
持分のみを担保にする場合、評価額については「不動産の全体評価額×持分割合×減価率」で計算されるのが一般的です。
共有持分は単独では売却しにくく、市場での流動性が低いとされ、評価額は一定割合で減価され控えめに算出される傾向があります。
特に共有者が多い場合で、物件全体を処分しなければならなくなった際には共有者全体の合意が必要になるため、時間がかかると同時になかなか買い手が付きにくくなることも評価額が下がる理由です。
仮に評価額3,000万円の不動産を兄弟2人で保有しており、それぞれの共有持分が1/2ずつだった場合、単純に計算すれば評価額は1,500万円です。
しかし、共有持分のみを担保とする場合は取り扱いが難しいため、金融機関によっては全体評価の50〜70%程度(750万円〜1,050万円)まで評価が下がるケースもあります。中には半分以下になるケースもあるため、利用の際には慎重に判断しましょう。
8. 共有名義の不動産で借りられる金額目安のシミュレーション
不動産全体を担保にする場合、借入可能額の目安は「不動産の評価額×融資割合(LTV)」という計算式で算出します。融資割合(LTV)とは、「借入額
÷
不動産評価額」を示す指標で、金融機関がどの程度まで融資するかを判断する目安です。
ここでは、具体的なシミュレーションを用いながら、想定しやすいケースごとに借入可能額の目安を分かりやすく解説します。
これから不動産担保ローンの利用を考えている方は、参考にしてください。
8-1 不動産全体を担保にした場合の借入シミュレーション
ここでは、不動産全体を担保にした場合の借入可能額について、2つのケースを紹介します。
【不動産の評価額:3,000万円、LTV:70%の場合】計算式:3,000万円×70%=2,100万円借入可能額の目安:約2,100万円
【不動産の評価額:3,000万円、LTV:80%の場合】 計算式:3,000万円×80%=2,400万円 借入可能額の目安:約2,400万円
このように、不動産の評価額が同じ3,000万円であっても、融資割合(LTV)が高いほど、借入可能額は大きくなります。
8-2 共有持分のみを担保にした場合の借入シミュレーション
共有持分のみを担保にする場合、専門の金融機関を利用するのが一般的です。ただ、その際でも、用いられる計算式は「不動産の評価額×持分割合×LTV」を目安に算出されます。
以下のケースでシミュレーションしてみましょう。
【不動産評価額:3,000万円、持分割合:1/2、LTV:70%】 計算式:3,000万円×1/2×70%=1,050万円 借入可能額の目安:約1,050万円
【不動産評価額:3,000万円、持分割合:1/3、LTV:70%】 計算式:3,000万円×1/3(約33%)×70%=約693万円 借入可能額の目安:約690万円
【不動産評価額:3,000万円、持分割合:1/4、LTV:70%】 計算式:3,000万円×1/4×70%=525万円 借入可能額の目安:約525万円
このように、共有持分のみを担保にする場合、持分割合に応じて借入可能額の目安が異なります。
9. 共有名義の不動産で不動産担保ローンを利用する際に必要な書類一覧
共有名義の不動産で不動産担保ローンを利用する際に必要な書類は、基本的には、単独名義の不動産を担保にする場合と大きく変わりません。
必要書類
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 本人の印鑑証明書
- 所得証明書(源泉徴収票や確定申告書の控えなど)
- 登記事項証明書
- 固定資産税納税通知書
などが挙げられます。
ただし、共有名義の不動産であることから、登記簿上の氏名や住所が現在の情報と異なる場合には、戸籍の附票や住民票など、変更内容を証明できる書類を追加で用意しておきましょう。
また、不動産全体を担保にする場合など、金融機関によっては、共有者全員の合意書や印鑑証明書の提出を求められるケースもあります。書類がそろっていないと、審査が遅れる原因になることもあるため、事前に必要書類を確認し、早めに準備しておくことが大切です。
その際には、あわせて登記簿に記載されている内容に誤りや相違がないかも確認しておくことをおすすめします。
10. 共有名義の不動産で不動産担保ローンを借り入れるリスク
ここでは、共有名義の不動産で不動産担保ローンを借り入れる際の、共有名義ならではの代表的なリスクを紹介するとともに、借入前に理解しておくべきポイントを解説します。
10-1 返済ができないときに共有者へ影響がおよぶ(全体担保の場合)
共有名義の不動産全体を担保にして借り入れた場合、返済ができない状況になったときには、担保として提供している不動産全体が競売にかけられる可能性があります。
その際には共有者全員の持分にも影響がおよぶため、共有者である家族や親族とのトラブルに発展するリスクに注意しておきましょう。
特に共有者の理解が不十分な状態の場合、知らないうちに自分の持分が競売にかけられることになり、共有者も不利益をこうむってしまいます。
そのため、共有名義の不動産全体を担保にする場合は、事前に共有者全員に説明し、合意を得ることが大切です。
10-2 共有持分を失う可能性がある(共有持分のみを担保にした場合)
自分の共有持分のみを担保に不動産担保ローンを借り入れた場合でも、返済ができない状況になったときには「自分の持分」が競売の対象として扱われます。
例えば、兄弟2人で1/2ずつの持分割合で共有名義の不動産を保有していたとしましょう。
そして、弟のほうが自分の共有持分を担保に不動産担保ローンを借り入れ、返済が困難な状況になった場合、弟の持分である1/2が第三者に売却されるケースも考えられます。
持分が見知らぬ第三者に渡ることで、今後兄のほうが家を売却したいと考えたとしても、共有者である第三者の合意が得られないほか、共有の解消すらできなくなってしまう可能性も否定できません。
10-3 不動産を分割してもローンの担保権は残る(不動産全体を担保にした場合)
共有名義の不動産全体を担保にして不動産担保ローンを利用した場合、不動産担保ローンの返済中に土地を分割することになっても、不動産全体に設定されている抵当権は自動では消えません。
土地の分割後は、もともと担保になっていた部分には抵当権が残り、返済ができなくなった際のリスクは変わらないのです。
また、担保が設定されている土地を分筆する場合には、共有者全員の合意に加えて金融機関の承諾が必要になるケースも多く、そのぶん手続きも複雑になります。
10-4 共有者との関係が悪化する可能性がある
共有名義の不動産を担保に不動産担保ローンを利用する場合で、借入手続きに共有者の合意が必要な状況だと、共有者同士の関係性によっては話し合いが難航し、関係が悪化するリスクがあります。
特に返済に関するトラブルが発生したときには、共有者にも影響がおよぶことが考えられるため、家族間もしくは親族間の信頼関係を損なう結果にもなりかねません。
特に相続による共有名義の不動産だと、共有者の数によっては調整に時間がかかることが多く、事前の説明と合意の形成が欠かせないと思っておきましょう。
11. 不動産担保ローンを利用できないときのほかの資金調達方法
ここでは、保有している不動産が共有名義のため、不動産担保ローンを利用できない場合に代替手段として考えられる資金調達方法を紹介します。
11-1 無担保ローンで資金調達を行う
借り入れは、必ずしも不動産などの担保を必要とするわけではありません。消費者金融や銀行が提供する無担保ローン(カードローンなど)を利用する方法もあります。
無担保ローンは、不動産担保ローンと比べると借入可能額は少額になる傾向がありますが、審査スピードが比較的早い点が特徴です。そのため、少額の資金を早急に用意したい場合に向いています。
例えば、急な医療費や教育費の支払い、短期間だけ必要となるつなぎ資金などが挙げられます。
ただし、無担保ローンは有担保ローンに比べて金利が高めに設定されているため、事前に返済計画を立て、無理のない範囲で借り入れることが重要です。
11-2 公的融資制度を活用する
国や自治体が提供する公的融資制度を活用する方法もあります。
公的融資制度は、福祉的な側面を持ち、比較的低金利で借りられる点が特徴です。できるだけ金利負担を抑えて資金を調達したい方に向いています。
例えば、日本政策金融公庫では、教育費を目的とした「国の教育ローン」のほか、事業資金向けの融資制度を提供しています。また、各都道府県の社会福祉協議会が実施している福祉貸付制度も選択肢のひとつです。
ただし、公的融資制度は申込みから審査結果が出るまでに2ヶ月~3ヶ月程度かかる場合もあります。利用を検討する際は、資金が必要になる時期から逆算し、余裕を持って申込みましょう。
12. 共有名義でも工夫次第でローンは可能。自分に合う借入方法を早めに専門の金融機関へ相談しよう
共有名義の不動産でも、条件を満たせば不動産担保ローンの利用は可能です。
ただし、共有名義の不動産全体を担保にするケースと、自分の持分割合のみを担保にするケースでは、ほかの共有者の合意の有無だけでなく、借入可能額にも違いが発生することを知っておきましょう。
共有名義不動産における持分評価の考え方や、ほかの共有者への影響、専門の金融機関を利用する際のメリット・デメリットを理解しておくことで、自分に合った借入方法を選びやすくなります。
また、共有名義ならではのリスクを踏まえ、無理のない返済計画を立てることも重要なポイントです。
ほかの共有者の合意を得て不動産全体を担保にするのか、それとも自分の持分割合のみで借り入れるのかは、状況によって最適解が異なります。判断に迷った場合は、早めに専門の金融機関へ相談し、自身の状況に合った選択肢を検討しましょう。
- 金利ランキング
ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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