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【第122回】【最新】大学無償化の条件・金額・手続きを解説|年収600万円・多子世帯は対象になる?

2026年07月14日
【最新】大学無償化の条件・金額・手続きを解説|年収600万円・多子世帯は対象になる?
「大学無償化って、うちは対象になるの?」「2025年度から多子世帯向けの支援が拡充されたと聞いたけれど、実際にはどれくらい支援を受けられるのだろう。」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
2025年度からは、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯に対する支援が大きく拡充され、所得制限なしで授業料や入学金の減免を受けられる範囲が広がりました。一方で、すべての家庭が対象になるわけではなく、支援内容や金額にも上限があります。
この記事では、大学無償化の仕組みや対象条件、年収ごとの目安、2025年度の改正ポイント、実際の支援額、申請手続きまで初心者にもわかりやすく解説します。
高校生のお子さんを持つ保護者の方はぜひ参考にしてください。

この記事は約12分30秒で読むことができます。

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    1. 大学無償化とは?制度の基本をまず押さえよう

    「無償化」と書かれたプレートと、本と文房具が置かれたミニチュアの学校机・椅子セットの画像

    「大学無償化」という言葉はよく耳にするものの、具体的な仕組みまではよく知らないという方も少なくありません。まずは制度の正式名称や支援内容、制度ができた背景を確認し、全体像を理解しておきましょう。

    1-1 正式名称は「高等教育の修学支援新制度」

    一般的に「大学無償化」と呼ばれていますが、正式名称は「高等教育の修学支援新制度」です。文部科学省が実施する制度で、給付型奨学金の運営は日本学生支援機構(JASSO)が担っています。

    この制度は、すべての学生の授業料が無料になる仕組みではありません。一定の条件を満たした学生を対象に、授業料や入学金の減免と返済不要の給付型奨学金による支援を行う制度です。対象は大学、短期大学、高等専門学校(4・5年生)、専門学校などの認定校に限られます。

    1-2 制度を支える2つの柱|授業料等減免と給付型奨学金

    大学無償化は、「授業料等減免」と「給付型奨学金」の2つを柱としています。

    授業料等減免は、授業料や入学金を上限額の範囲内で直接減額する仕組みです。現金の支給ではなく、学校への支払い額そのものが軽減されます。

    給付型奨学金は、生活費に充てられる返済不要の奨学金で、日本学生支援機構から毎月学生本人へ支給されます。原則として、2つの支援はセットで利用する仕組みで、入学金は入学時のみ、授業料は毎年度支援を受けられます。

    なお、進学先によっては減免後も自己負担が生じるため、進学予定校の授業料と支援上限額を事前に確認しておきましょう。

    1-3 2020年にスタートし、2025年に大幅拡充

    同制度は2020年4月に始まり、当初は住民税非課税世帯など低所得世帯が主な対象でした。

    その後、段階的に拡充され、2025年度からは子どもが3人以上いる多子世帯向けに所得制限が大幅に緩和され、より幅広い世帯が授業料・入学金の減免を受けられるようになりました。なお、これから入学する新入生だけでなく、すでに大学に通っている在学生も対象です。

    制度は今後も見直される可能性があるため、最新情報は文部科学省や日本学生支援機構(JASSO)の公表資料を確認しましょう。

    2. 2025年度から何が変わった?旧制度と新制度の違いを比較

    変更点と書かれたブロックが置かれた机の画像

    2025年度から大学無償化制度は大きく変わりました。これまで低所得世帯向けだった支援が、多子世帯や中間所得層にも広がっています。

    2-1 【旧制度(~2023年度)】対象は住民税非課税世帯が中心

    2020年の制度開始当初は、住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯が主な対象でした。支援区分は第1~第3区分に分かれており、世帯収入が増えるほど支援額が段階的に減る仕組みです。そのため、中間所得層は対象外となるケースが多くありました。

    2-2 【2024年度改正】中間所得層への支援が拡大

    2024年度からは新たに第4区分が設けられ、年収600万円程度の中間所得層にも支援が広がりました。拡充の柱は「多子世帯支援」と「理工農系支援」の2つです。

    多子世帯支援は、扶養する子どもが3人以上いる家庭が対象で、給付型奨学金と授業料等減免を通常支援額の4分の1まで受けられます。ただし、上の子が就職などで扶養から外れると支援対象外になる場合があります。

    理工農系支援は、私立大学・短大・高専・専門学校などが対象で、授業料等減免のみが適用されます。学部名だけでは判断できないため、対象学科は文部科学省の公表資料で確認しましょう。

    なお、両方に該当する場合は、原則として「多子世帯支援が優先」されます。

    2-3 【2025年度改正】多子世帯は所得制限なしに

    2025年度からは、扶養する子どもが3人以上いる多子世帯であれば、所得制限なく授業料・入学金の減免を受けられます。これにより、年収1,000万円超の世帯も対象となります。

    2024年度までは年収によって支援額が段階的に減額されるケースもありましたが、2025年度の改正でその制限が撤廃されました。新入生だけでなく、2025年4月時点ですでに在籍している学生も対象です。

    なお、理工農系支援は継続されていますが、多子世帯支援とは別制度のため条件や支援内容が異なります。

    2-4 【一目で分かる対照表】旧→新の変更点を表で比較

    2025年度以降は、子どもの人数や進学先によって支援を受けられる可能性が大きく広がっています。

    比較項目 旧制度(〜2023年度) 2024年度改正 2025年度改正
    主な対象世帯 住民税非課税世帯および準ずる世帯 住民税非課税〜中間所得層(多子世帯・理工農系) 住民税非課税〜中間所得層(理工農系)・多子世帯(所得制限なし)
    多子世帯の年収上限 所得制限あり(低所得のみ) 年収600万円程度※ 撤廃(年収制限なし)
    支援内容 授業料等減免+給付型奨学金 授業料等減免+給付型奨学金(多子・理工農系は一部減免を追加) 多子世帯は授業料等減免(所得制限なし)+給付型奨学金(条件付き)
    理工農系学部 対象外 年収600万円程度まで支援開始※ 継続(変更なし)
    在学生の扱い 毎年度審査 毎年度審査 多子世帯支援が在学生にも適用(毎年度審査は継続)

    ※年収の目安は家族構成や控除の状況により異なります

    3. 自分の家庭は対象?3つの条件を順番に確認しよう

    「FAMILY」と書かれた木製ブロックの上に、家族を表す木製人形4体・ミニチュアの家・木が並んでいる画像

    制度の概要がわかったら、次は自分の家庭が対象になるかを確認してみましょう。ポイントは「年収」「子どもの人数」「進学先」の3つです。

    3-1 条件(1) 世帯年収の目安と支援区分

    子どもが2人以下の世帯では、世帯収入に応じて支援区分が決まり、収入が少ないほど支援額は大きくなります。4人世帯(両親・本人・中学生)の目安は以下のとおりです。

    区分 年収目安 支援内容
    第1区分 ~約270万円 授業料・入学金の減免+給付型奨学金を満額支援
    第2区分 約270万円~300万円 授業料・入学金の減免+給付型奨学金は満額の3分の2
    第3区分 約300万円~380万円 授業料・入学金の減免+給型奨学金は満額の3分の1
    第4区分(理工農系) 約380万円~600万円 授業料・入学金の減免は満額の4分の1

    2024年度に新設された第4区分(約380万〜600万円)は、多子世帯または私立理工農系学部の学生が対象です。判定は住民税情報などを基に行われるため、同じ年収でも家族構成や控除の状況によって結果が異なります。

    3-2 条件(2) 扶養する子どもの人数

    2025年度改正のポイントは子どもの人数です。扶養する子どもが3人以上いれば、所得制限なく授業料・入学金減免の対象となり、年収1,000万円超の世帯でも利用できます。ただし、給付型奨学金については別途所得・資産の基準を満たさなければなりません。

    扶養人数は税情報(マイナンバー)で確認され、申請時点で確定している直近の年末(12月31日)時点における情報をもとに判定されます。ただし一定の収入を超えると、扶養から外れるため注意が必要です。また第1子が卒業・就職などで扶養から外れると要件を満たさなくなり、支援が終了します。

    3-3 条件(3) 進学先の学校・学部が認定されているか

    進学先が文部科学省の認定校であることが必要です。対象は大学・短大・高専(4・5年生)・専門学校で、国公立大学の多くと私立大学の大半が認定されています。

    ただし、確認申請・審査を受けていない学校は対象外となる場合があります。理工農系支援を利用する場合は、学部・学科単位での確認も必要です。進学予定校が認定されているかは、文科省の対象機関リストで確認しましょう。

    参考:文部科学省「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト」

    3-4 【早見表】年収×子ども数で対象かどうかを判定する

    大学無償化の対象となるかは、世帯年収だけでなく子どもの人数によっても変わります。まずは以下の早見表で、おおよその対象可否を確認しましょう。

    【早見表】授業料・入学金減免の対象目安

    世帯年収の目安 子ども1人~2人 子ども3人以上
    約270万円未満
    約270万円~300万円
    約300万円~380万円
    約380万円~600万円 ✕※
    約600万円超

    「◎ 満額または全額減免」「〇 一部減免あり」「✕ 原則対象外」 ※理工農系学部は別途対象となる場合があります。

    この表はあくまで目安です。最終的な判定は住民税情報などを基に行われるため、日本学生支援機構の進学資金シミュレーターや学校の奨学金窓口で確認してください。
    なお、給付型奨学金は授業料等減免とは別に、所得・資産の基準があります。多子世帯でも年収約600万円超の場合は授業料等減免のみで、給付型奨学金は支給されません。

    参考:日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」

    4. 支援額はいくら?国公立・私立別の金額一覧

    「国立大学」と「私立大学」の学費を円マーク付きの木製ブロックと電卓で比較したイメージ画像

    支援対象となることが確認できたら、次に気になるのは実際にどれくらい支援を受けられるのかという点です。ここでは授業料等減免と給付型奨学金について、学校種別ごとの支援額を整理して紹介します。

    4-1 授業料減免の上限額(学校の種類別)

    授業料等減免は、学校へ支払う授業料や入学金が上限額の範囲内で直接減額される制度で、学生本人に現金が支給されるわけではありません。

    減免対象は授業料(毎年度)と入学金(入学時1回)の2種類で、上限額は学校種別によって異なります。

    授業料等減免の上限額(昼間制・第1区分=満額支援の場合)

    学校 国公立:授業料 国公立:入学金 私立:授業料 私立:入学金
    大学 約54万円 約28万円 約70万円 約26万円
    短大 約39万円 約17万円 約62万円 約25万円
    高専 約23万円 約8万円 約70万円 約13万円
    専門学校 約17万円 約7万円 約59万円 約16万円
    大学(夜間) 約27万円 約14万円 約36万円 約14万円
    通信制 約13万円 約3万円

    ※通信制は私立のみ開講。国立大学・短期大学・高等専門学校・専門学校では通信制課程は開講されていないため対象外
    国公立大学の年間授業料は53万5,800円のため、多子世帯では授業料が実質的に無償となるケースもあります。私立大学では上限額を超える授業料が設定されているケースも多く、超過分は自己負担です。

    4-2 給付型奨学金の月額(区分ごとの一覧)

    給付型奨学金は、日本学生支援機構から学生本人の口座へ毎月支給される返済不要の奨学金です。支給額は学校種別・所得区分・通学形態によって異なり、自宅外通学の方が高くなります。

    大学・第1区分の場合

    通学形態 国公立大学 私立大学
    自宅通学 約2万9,000円/月(約35万円/年) 約3万8,000円/月(約46万円/年)
    自宅外通学 約6万6,000円/月(約80万円/年) 約7万5,000円/月(約91万円/年)

    第2区分は満額の3分の2、第3区分は3分の1が支給されます。多子世帯の第4区分では、所得・資産の基準を満たす場合に満額の4分の1を受給できます。

    4-3 4年間で受け取れる総額シミュレーション

    授業料等減免と給付型奨学金を合わせると、4年間の支援総額は以下のとおりです。

    第1区分・4年間の概算総額

    ケース 授業料減免4年分 入学金減免 給付型奨学金4年分 合計
    国公立大学・自宅通学 約216万円 約28万円 約140万円 約384万円
    国公立大学・自宅外通学 約216万円 約28万円 約320万円 約564万円
    私立大・自宅通学 約280万円 約26万円 約184万円 約490万円
    私立大・自宅外通学 約280万円 約26万円 約364万円 約670万円

    私立大学へ進学し自宅外通学するケースでは、4年間の支援総額は最大約670万円となります。ただし、給付型奨学金・授業料等減免ともに毎年の適格認定が必要で、学業成績や家計状況によって支援内容が変わる場合があります。

    5. 申請はいつ・どこで?手続きの流れをステップで解説

    担当者が書類を指差し、窓口でペンを持った申請者が書類に記入している画像

    制度を利用するには申請が必要です。申請時期を逃すと受給開始が遅れる場合もあるため、流れをしっかりと確認しておきましょう。

    5-1 「予約採用」と「在学採用」どちらかで申請する

    大学無償化の申請方法は「予約採用」と「在学採用」の2つに分かれます。

    5-1-1 予約採用(進学前に申請)

    予約採用は、高校3年生のうちに進学前から申込む方法です。進学先が決まっていない段階でも申請でき、高校在学中に手続きを行います。

    一般的には春頃から学校を通じて申請が始まり、採用候補者決定通知は秋頃に交付されます。進学後に日本学生支援機構へ「進学届」を提出すると正式採用となります。

    なお、予約採用で不採用となっても、進学後に在学採用へ再申請できます。

    5-1-2 在学採用(進学後に申請)

    大学や専門学校へ進学した後に申込む方法で、一般的に春と秋の年2回募集されます。採用後は認定月までさかのぼって支援を受けられるケースもあります。

    2025年度からは多子世帯の学生も新たに対象となったため、以前対象外だった方も最新の制度を確認してみましょう。

    5-2 【申請窓口】日本学生支援機構と学校の2つ

    申請は日本学生支援機構(JASSO)と進学先の学校の両方を通じて行います。流れは以下のとおりです。

    1. 学校にて申請書類を受け取る
    2. 日本学生支援機構のスカラネットに入力する
    3. 学校および日本学生支援機構へ必要書類を提出する
    4. 日本学生支援機構から学校に審査結果が通知される
    5. 日本学生支援機構に進学届を提出すると、支援が開始される

    学校によっては、一度納付した授業料や入学金が採用後に返還される場合もありますので、事前に担当窓口に確認しておきましょう。

    5-3 提出書類と締め切りのスケジュール

    在学採用(春申請)の一般的な流れは以下のとおりです。

    • 4月:学校の奨学金窓口で申込書類を受け取る
    • 4~5月:スカラネットでオンライン申請・書類提出
    • 5~6月:マイナンバー関係書類を日本学生支援機構へ郵送
    • 7月頃:選考結果が学校を通じて通知される
    • 認定後:採用が決定した月から給付型奨学金の振込が始まる

    主な提出書類は、本人および保護者のマイナンバー関係書類、学修計画書、資産申告書などです。学校によって締切日は異なるため、必ず進学先の案内を確認しましょう。

    給付型奨学金と貸与型奨学金の違い・併用はできる?

    「奨学金」と書かれた3つのサイコロが電卓の上に置かれている画像

    奨学金には返済不要の「給付型」と、卒業後に返済する「貸与型」があり、仕組みや返済の有無も大きく異なります。

    ここでは、大学無償化との関係も含め、それぞれの違いと併用する際の注意点について解説します。

    6-1 給付型と貸与型の違い

    給付型奨学金は、返済が不要な奨学金です。大学無償化制度の給付型奨学金が代表例で、家計状況や学修意欲などの要件を満たした学生が利用できます。授業料等減免と合わせて支援されるため、学費だけでなく生活費の負担軽減にもつながります。

    一方、貸与型奨学金は卒業後に返還が必要な奨学金です。日本学生支援機構が実施する貸与型奨学金には、無利子の「第一種奨学金」と有利子の「第二種奨学金」があります。

    第一種は学力・家計基準が比較的厳しい一方で、利息負担がありません。第二種は利用しやすく、貸与月額も幅広く選べますが、卒業後に利息を含めて返還しなければなりません。

    給付型 貸与型第一種 貸与型第二種
    返済 不要 必要 必要
    利息 なし なし あり(上限3%)
    家計基準 世帯年収や資産の要件あり 世帯年収の要件あり 世帯年収の要件あり
    学力基準 高校の成績・学習意欲の要件あり 平均水準以上 平均水準以上
    月額の目安 約2万9,000円〜7万5,000円(学校種別・区分・通学形態により異なる) 最大6万4,000円 2万円~12万円で選択
    特徴 授業料等減免と連動 利息負担がない 利用しやすく金額も大きい

    6-2 大学無償化と奨学金は原則として併用できる

    「大学無償化の対象になったら、ほかの奨学金は利用できないのでは?」と思う方もいますが、そのようなことはありません。

    大学無償化制度の給付型奨学金・授業料等減免と、日本学生支援機構の貸与型奨学金は原則として併用可能で、給付型奨学金を受給しながら、第一種・第二種奨学金や入学時特別増額貸与奨学金を利用することもできます。

    自治体の奨学金や大学独自の給付型奨学金と併用できるケースも少なくありません。ただし、制度によっては受給額に制限が設けられる場合があるため、事前に募集要項を確認しましょう。

    授業料は減免制度で抑え、不足する生活費や教材費、通学費などは、奨学金で補うという形で利用している家庭も多くみられます。特に自宅外通学の場合は生活費負担が大きいため、複数の制度を組み合わせて活用することが重要です。

    6-3 併用する場合に知っておきたい「貸与額の調整」

    給付型奨学金と第一種奨学金(無利子)は併用できますが、満額で受け取れるとはかぎりません。

    給付型奨学金を受給する場合、支援額とのバランスを考慮して第一種奨学金の貸与月額が減額されることがあります。これを「併給調整」と呼びます。

    例えば、給付型奨学金によって生活費の一部が補われる場合、その分だけ第一種奨学金の貸与可能額が少なくなるケースがあります。実際の貸与額は、通学形態や支援区分などに応じて日本学生支援機構が定める基準によって決まります。

    また、給付型奨学金に後から採用された場合には、過去に受け取った第一種奨学金との調整が行われることもあります。その結果、初回振込額が少なくなったり、返還が必要になったりする場合もあるため注意が必要です。

    一方で、第二種奨学金(有利子)は併給調整の対象外です。審査に通れば希望する範囲内で借りられるため、生活費や住居費の不足を補いたい場合の選択肢となります。ただし、卒業後の返還負担を考慮し、余裕を持って返せる必要な金額だけを借りることを意識しましょう。

    7. 修学支援新制度の申請前に必ず知っておきたい5つの注意点

    制服姿の女子高生が笑顔で人差し指を立てているイメージ画像

    大学無償化は非常に手厚い支援制度ですが、条件を満たしていると思っていても対象外になるケースがあります。申請前に確認しておきたいポイントを整理しておきましょう。

    7-1 資産要件|預貯金や有価証券の額も確認される

    大学無償化では世帯収入だけでなく、保有する金融資産も確認されます。対象となる資産は現金、預貯金、有価証券(株式・投資信託など)です。自宅や土地などの不動産は原則として資産要件の対象には含まれません。

    2025年度からの基準は以下のとおりです。

    • 給付型奨学金を受ける場合:学生と生計維持者の資産合計が5,000万円未満
    • 授業料等減免を受ける場合:同じく5,000万円未満
    • 多子世帯で授業料等減免の満額支援を受ける場合:3億円未満

    資産状況は自己申告ですが、虚偽申告が判明した場合は支援停止や返還を求められることがあるため、相続などでまとまった金融資産を保有している家庭は事前に確認しておきましょう。

    7-2 成績・出席要件|在学中も条件を満たし続ける必要がある

    大学無償化は、一度採用されれば卒業まで自動的に継続する制度ではありません。在学中も毎年、適格認定(学業・家計)が行われます。採用時には、高校の評定平均がおおむね3.5以上であること、または学修計画書などによって学ぶ意欲が認められることが求められます。

    さらに在学中は、修得単位数やGPA、出席状況などをもとに継続審査が行われます。修得単位数が標準の7割以下、GPAが学部内の下位4分の1、出席率が8割以下などの場合は「警告」となる可能性があります。

    警告状態が続くと支援停止や廃止につながることもあり、修業年限内で卒業できないことが確定した場合や、単位取得率が著しく低い場合には即時廃止となるケースもある点に注意しておきましょう。

    奨学生のアルバイトが禁止されているわけではありませんが、働き過ぎによって学業に支障が出ると支援の継続に影響する可能性があるため注意が必要です。

    7-3 多子世帯カウント|「同時に扶養」していること

    2025年度から拡充された多子世帯支援では、扶養する子どもが3人以上いることが条件です。ここで重要なのは「子どもが3人いること」ではなく、「税法上、3人以上の子どもを同時に扶養していること」です。

    例えば、第1子が大学生、第2子が高校生、第3子が中学生で、全員が保護者の扶養に入っている場合は多子世帯として支援対象です。しかし、第1子が就職して扶養から外れると、扶養人数は2人となるため、多子世帯の要件を満たさなくなる可能性があります。

    兄弟姉妹の年齢差が大きい家庭では、就職や結婚のタイミングによって支援対象から外れるケースもあるため、事前に扶養状況を確認しておきましょう。

    多子世帯判定の例

    家族構成・扶養状況 多子世帯の対象 理由
    第1子(大学)・第2子(高校)・第3子(中学)を同時に扶養 対象 扶養する子どもが3人いるため
    第1子が就職して扶養外、第2子(大学)・第3子(高校) 対象外 扶養する子どもが2人になるため
    第1子(大学院・扶養内)・第2子(大学)・第3子(高校) 対象 大学院生も扶養内なら人数に含まれるため
    子どもは3人いるが、第1子が結婚して独立 対象外 扶養する子どもが2人になるため
    第1子(専門学校)・第2子(高校)・第3子(中学)を同時扶養 対象 学校種別に関係なく扶養人数で判定するため

    7-4 認定外の大学・学部では利用できない

    大学無償化は、すべての学校で利用できる制度ではありません。対象となるのは文部科学省が確認を行った「確認大学等」のみです。大学名だけでなく、専門学校や学部・学科単位でも対象外となるケースもあります。

    特に理工農系学部向けの支援制度を利用したい場合は、進学を希望する先の学部や学科が対象になっているか確認が必要です。進学先が対象校かどうかは、文部科学省が公表している確認大学等一覧で確認できます。

    7-5 「年収600万円の目安」と実際の判定基準は異なる

    大学無償化について調べると、「年収600万円なら対象」「600万円を超えると対象外」といった情報を目にすることがあります。しかし、実際の判定は年収だけで決まるわけではありません。なぜなら、住民税の課税標準額や扶養人数、各種控除などをもとに総合的に判断されるからです。

    そのため、同じ年収600万円でも共働きか片働きか、子どもの人数が何人かによって結果が変わることがあります。

    「年収だけ見て対象外だと思っていたら実は対象だった」というケースも珍しくありません。判定の目安を知りたい場合は、日本学生支援機構の進学資金シミュレーターで確認してみましょう。

    8. ケース別シミュレーション|うちはいくら得する?

    「CASE」と書かれた黄色・青色のブロックの周りに、グラフ資料・ミニチュア人形・ペン・メガネが配置されたイメージ

    大学無償化の仕組みを理解したら、実際の家庭に当てはめて考えてみましょう。ここでは代表的な3つのケースを紹介します。

    8-1 ケース(1)|年収500万円・子ども2人世帯・私立大文系に自宅から通学

    両親、本人、中学生の4人家族で世帯年収約500万円、進学先は私立大学文系・自宅通学というケースでは、子ども2人なので多子世帯には該当しません。年収水準から考えると第1〜3区分の対象外となる可能性が高く、私立文系のため理工農系支援も利用できません。

    授業料等減免、給付型奨学金ともに対象外となるケースが多く、支援を受けられない可能性があります。

    ただし、日本学生支援機構の第一種奨学金や第二種奨学金、大学の給付型奨学金などは利用できます。大学無償化の対象外であっても、利用できる支援制度がないか確認することが大切です。

    ちなみに貸与型第一種(無利子)なら、月額最大5万4,000円(4年間で最大約259万円)の借り入れが可能です。

    8-2 ケース(2)|年収700万円・多子世帯・国公立大に自宅外通学

    両親・本人・高校生・中学生の5人家族で世帯年収約700万円、進学先は国公立大学・自宅外通学のケースです。扶養する子どもが3人いるため、多子世帯支援の対象となり、2025年度からの所得制限撤廃により、年収700万円でも授業料等減免を受けられます。

    支援額は授業料減免4年分(約216万円)+入学金減免(約28万円)で、合計約244万円が目安です。

    ただし給付型奨学金は別途所得・資産要件があるため、必ずしも支給対象になるとは限りません。自宅外通学の場合は、生活費・家賃の準備も別途必要です。

    8-3 ケース(3)|年収500万円・子ども2人世帯・私立大理工系に自宅から通学

    両親・本人・中学生の4人家族で世帯年収約500万円、進学先が私立大の理工系学部・自宅通学のケースです。子どもは2人のため多子世帯には該当しませんが、第4区分の理工農系支援の対象となる可能性があります。

    理工農系支援は「文系との授業料差額を基準とした支援」のため、支援額は進学先の学部・学科によって異なります。授業料等減免のみが適用され、給付型奨学金は支給されないため、生活費や教材費は別途準備が必要です。対象学部・学科は文部科学省の「確認大学等一覧」で事前に確認しましょう。

    9. 大学無償化制度を正しく理解し、子どもの進学費用の負担を減らそう

    青空の下の草原を、両親と子ども3人の5人家族が後ろ向きで走っている画像

    2025年度から大学無償化制度は大きく拡充され、特に多子世帯では所得制限なく授業料や入学金の減免を受けられるようになりました。条件によっては4年間で最大約670万円規模の支援を受けられる可能性があります。
    一方で、所得や扶養人数だけでなく、資産要件・学業要件・進学先が認定校であることなど、複数の条件を満たさなければなりません。
    「うちは対象外だろう」と決めつけず、まずは日本学生支援機構の進学資金シミュレーターなどで確認してみることが大切です。利用できる制度を上手に活用し、子どもの進学の選択肢を広げていきましょう。

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    ライター紹介

    新井 智美
    氏名
    新井 智美(あらい ともみ)
    保有資格
    ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
    主なキャリア
    コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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