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【第85回】教育費が足りないときどうする?教育ローンや奨学金について徹底解説

2023年05月12日
教育費が足りないときどうする?教育ローンや奨学金について徹底解説
子供の教育費については、学資保険や貯蓄などで準備している方も多いでしょう。しかし、子供が希望する進学先によっては、準備していた金額では足りないケースも考えられます。その際に利用できるのが奨学金や教育ローンです。
今回は奨学金や教育ローンの概要を解説するとともに、利用する際のメリットやデメリットについても紹介します。

1 必要な教育資金は意外と高額

子供の教育費は、幼稚園もしくは保育園から始まり、最終的に大学まで進学するとなるとかなりの費用がかかります。この章では、保育園および幼稚園から大学卒業までにどのくらいの教育費がかかるのかについて解説します。

※参考:文部科学省|令和3年度子供の学習費調査

1-1 保育園・幼稚園

幼稚園(3年)の学習費総額は、公立で47万2,746円。私立だと92万4,636円と、私立の場合は約100万円弱の負担になります。ただ、かかった費用の内訳を見ると、公立そして私立ともに学校外教育費が約半分を占めており、幼稚園や保育園の頃から習いごとなどを始めている子供が多いことがわかります。

幼稚園の学年別の学習費総額は以下のとおりです。

  公立 私立
3歳 13万3,353円 30万9,170円
4歳 14万0,838円 27万6,125円
5歳 19万8,555円 33万9,341円

1-2 小学校

小学校は6年間という長い期間にわたりますので、公立と私立ではかなりの差が出ます。小学校の学年ごとにかかる教育費は以下のとおりです。

  公立 私立
1年生 37万9,539円 213万6,449円
2年生 28万3,211円 140万2,725円
3年生 31万5,794円 151万9,595円
4年生 32万9,198円 159万2,088円
5年生 38万0,774円 168万3,972円
6年生 42万3,506円 166万4,831円
総額 211万2,022円 999万9,660円

公立では6年間の学習費総額は211万2,022円。私立だと999万9,660円と約1,000万円にものぼります。

私立の学習費総額が高いのは入学金の存在や学校教育費が高いこと、さらには学校外活動費も全学年で半分以上の割合を占めており、習いごとや学習塾の費用がかかっていることが想定されます。

1-3 中学校

中学校でも公立の場合は3年間の学習費総額は161万6,317円、私立は430万3,805円と公立の約2.6倍かかっています。ただ、公立の場合でも、中学3年生になると一気に学習費が増加することが分かっており、これは高校受験のための学習塾の費用が反映されていると考えられます。

  公立 私立
1年生 53万1,544円 180万6,991円
2年生 44万3,848円 121万8,559円
3年生 64万0,925円 127万8,255円
総額 161万6,317円 430万3,805円

1-4 高校

高等学校になると義務教育ではなくなるため、公立でも授業料や教科書代などの負担が発生します。そのため、中学校と同じ3年間でも学習費総額は高くなります。公立高校の場合、3年間で154万3,116円、私立高校で315万6,401円となっており、私立高校の場合、入学金が多くの割合を占めるほか授業料なども公立高校の2倍以上かかっています。

ただ、学校外活動費については公立と私立でそこまでの差はありません。高校生になると大学進学のための塾通いが本格化してくるため、その費用も考えておく必要があります。

  公立 私立
1年生 62万9,459円 127万6,978円
2年生 45万7,895円 94万1,873円
3年生 45万5,762円 93万7,550円
総額 154万3,116円 315万6,401円

1-5 大学

大学は国公立もしくは私立によって学習費総額が大きく異なります。国公立の場合、どの学部でも費用は同じですが、私立の場合は大学や学部によって異なっています。

国公立大学の授業料は53万5,800円、入学料は28万2,000円です。

私立大学の場合、学部によって以下のとおり差があります。

  授業料 入学料 施設設備費 卒業までの総額
4年制国立 53万5,800円 28万2,000円 0円 242万5,200円
6年制国立 53万5,800円 28万2,000円 0円 349万6,800円
私立文系 81万5,069円 22万5,651円 14万8,272円 363万4,199円
私立理系 113万6,074円 25万1,029円 17万9,159円 497万4,484円
私立医歯学系 288万2,894円 107万6,278円 93万1,367円 1930万5,009円
その他学部 96万9,074円 25万4,836円 23万5,702円 436万6,834円

※参考:
文部科学省|国公私立大学の授業料の推移[PDF]
文部科学省|2021年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額[PDF]

2 教育費用が足りないときはどうする?

教育費用については、中学生までは公立に通うと想定して準備してもいいでしょう。しかし、高校からは受験が必要になりますので、私立に通うとなると想定よりも教育費がかかります。

さらに大学に進学する場合は、進学先の学校や学部、そして自宅通学なのか自宅外通学なのかで必要となる費用も異なります。志望していても自宅外通学になるケースもあるでしょう。

最終的に決まった進学先に進学するにあたり、教育費用が不足している場合はどのような対処法があるのでしょうか。教育費が足りないときの対処法について解説します。

3 国の教育ローン

国の教育ローンとは、日本政策金融公庫が行っている「教育一般貸付」のことです。

全期間固定金利で比較的低い金利が適用されるのが特徴で、2023年3月時点の金利は年1.95%です。

国の教育ローンでは、ひとり親家庭など家庭の状況に応じて金利や保証料の優遇を設けているほか、扶養する子供の人数に応じて幅広い世帯収入の方でも利用できる仕組みになっています。

融資額の上限は350万円ですが、一定の要件に該当すれば450万円まで借り入れが可能です。

国の教育ローンは奨学金とも併用可能です。奨学金は進学してからでないと支給が開始されないため、それまでに必要となる受験料や入学金、前期授業料などは自分で準備しなければなりません。その際に国の教育ローンを使用する方もいます。

3-1 メリット

国の教育ローンは「支援」という名目のローンです。そのため、返済に無理がないように低水準の固定金利を採用しています。また返済期間も最長18年となっており、上限額は350万円であることからも、毎月の返済額が家計の負担になることは防げるでしょう。また、ひとり親家庭などには金利や保証料の優遇が設けられています。

奨学金との違いは、ローンの契約者が子供ではなく親であるため返済も親が行います。

3-2 デメリット・注意点

国の教育ローンを利用するためには、条件を満たさなければならず、誰でも利用できるものではありません。国の教育ローンの要件とは、子供の人数に応じた世帯年収が定められた上限金額以下であることです。

上限金額
子供の人数 世帯年収(所得)
1人 790万円(600万円)
2人 890万円(690万円)
3人 990万円(790万円)
4人 1,090万円(890万円)
5人 1,190万円(990万円)

子供が2人までの場合、勤続年数が3年未満など一定の要件に該当する際には上限額が990万円(790万円)まで緩和されます。

4 民間の教育ローン

民間の教育ローンとは、銀行などが融資している教育ローンで、目的があらかじめ決められている「目的別ローン」の一種です。そのため、資金使途は教育のための利用に限られます。

また、金利は銀行によって異なり、固定金利や変動金利、さらには有担保型や無担保型などの種類があります。利用する際には、毎月の返済額はどうなるか、いつまでに返済が終わるか、といったシミュレーションを行い無理なく返済できるかを確認することが大切です。

4-1 メリット

資金使途が教育に関する費用に限定されるものの、幼稚園にかかる費用など、国の教育ローンでは対象外となっている使途にも利用できます。また、国の教育ローンよりも借入可能額が大きい点も魅力といえるでしょう。さらに、在学期間中は返済を待ってもらえるローンもあります。

特に大学進学で高額な費用が必要な方は国の教育ローンだけでは賄えない可能性があります。その際には収入が高くても申し込める民間の教育ローンの利用も視野に入れてみましょう。

4-2 デメリット・注意点

民間の金融機関が提供するローンですので、目的別ローンとはいえ国の教育ローンと比べると金利が高く設定されている点がデメリットです。また国の教育ローンのように年収の上限は設けられていませんが、申込者の属性で審査を行った結果、返済能力がないと判断された場合、審査に通ることができず融資を受けられません。

国の教育ローンのような世帯年収による上限はありませんが、申込んだからといって必ず利用できるわけではないことを覚えておきましょう。

5 無利子の奨学金(第一種奨学金)

奨学金には2種類あり、返済不要の給付型と返済が必要な貸与型に分かれています。さらに貸与型の奨学金には無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。無利子の奨学金とは第一種奨学金のことで、卒業後に借りた金額を返済していくことになります。

無利子の奨学金は在学中に申込む予約採用のほか、審査後に申込む在学採用があります。ただし、申込む際には、学力基準を満たしていることや家計基準を満たしていることが必要です。

5-1 メリット

無利子で借りられるため、金利の負担を気にしなくてもいい点が大きなメリットでしょう。また、第一種奨学金は有利子の第二種奨学金と併用可能です。また、返済は卒業してから始まるため、在学中は学業に専念できます。

さらに2020年度から始まった住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯への授業料および入学金の免除や減額のほか、給付型奨学金の支給などを行う新しい給付奨学金と併用できることになった点もメリットです。

ただし、第一種奨学金と給付型奨学金を併用する場合、第一種奨学金の貸与月額が制限されます。制限される金額は給付型奨学金の区分によって異なりますが、給付型奨学金の額が大きい第一区分では、第一種奨学金の貸与額は0円になります。

5-2 デメリット・注意点

第一種奨学金は無利子ですが返済は必要です。返済は卒業してからですが、就職先が決まっていなくても返済しなければなりません。

また、第一種奨学金の申込みには学力基準および家計基準があります。学力基準は、高等学校における申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上あることで、家計基準は世帯人数における所得金額の上限額を超えてはならないというものです。

家計基準は世帯人数が3人の場合給与所得が657万円以下など細かく決められているため、家計基準が申込条件を満たしているかを十分にチェックするようにしてください。

※参考:独立行政法人日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準」

6 有利子の奨学金(第二種奨学金)

無利子の第一種奨学金と異なり、有利子の奨学金を第二種奨学金といいます。第一種奨学金と第二種奨学金は併用可能です。

第二種奨学金にも申込条件があるものの、第一種奨学金と比べると学業成績平均水準以上と比較的緩い基準になっています。

有利子とはいえ、国の教育ローンと比べると低い金利水準になっており、適用される金利は奨学金の貸与が終了した月に決定します。また、利子については固定方式と見直し方式を選択でき、見直し方式を選択した場合はおよそ5年ごとに金利が見直されます。

ちなみに、2022年の3月に貸与が終了した方の金利は、利率固定方式が0.905%、利率見直し方式が0.300%です。

6-1 メリット

有利子ではあるものの、比較的低金利で借りることができ、返済も卒業してから始まるため、大学卒業までは返済を気にしなくてもいい点がメリットです。申込む際の学力基準および家計基準も第一種奨学金よりは緩やかになっており、学力基準は平均水準以上であることで、家計基準も3人世帯で給与所得が1,009万円と、利用できる幅が拡大されています。

6-2 デメリット・注意点

申込条件を満たさなければ利用できない点と、利息と合わせて返済する必要がある点がデメリットです。仮に返済が難しくなった際には返済を猶予してもらう制度や、返済額を少なくできる制度があります。

返済が難しくなった際には、すぐに日本学生支援機構に相談し、返済猶予などの制度に申込むようにしましょう。申込んで認められれば返済猶予などの制度を利用できます。

7 ろうきんの教育ローン

中央労働金庫が提供している教育ローンです。民間教育ローンの一種ですが、在学中は利息のみの返済も可能で、利用しやすい教育ローンでしょう。

証書貸付型とカード型の2種類が用意されており、借りる額が決まっているなら証書貸付型を選んでください。カード型は必要な都度必要な額を借りられますが、使いすぎる可能性があるため注意が必要です。

金利も証書貸付型のほうが圧倒的に低い金利水準が適用されます。さらに、団体会員もしくは生協会員の場合、要件を満たすことで金利が0.2%「引き下げられます。

7-1 メリット

民間の教育ローンの中では比較的低い金利で利用できる点がメリットです。またカード型を選択することで、追加で融資を受ける必要があるケースに対応できます。

在学中、「いつ」「どのくらいの金額」が必要になるのか、スケジュールを立て、自己資金では賄えない部分をカード型で借りるとよいでしょう。ただし、返済能力を超えた借り入れはしないように心掛けてください。

7-2 デメリット・注意点

金利の引き下げが適用される「ずっとサポート引下げ」は、団体会員もしくは生協会員しか利用できません。そのため団体会員や生協会員以外の方にはあまりメリットを感じられないかもしれません。ただ、引き下げ前の金利でも低めの水準であるため、検討する余地はあるといえるでしょう。

8 ゆうちょ銀行「教育積立貯金」は新規申込みを停止している

民間の金融機関が教育ローンを扱っているのなら、ゆうちょ銀行の教育ローンを利用しようと考える人もいるでしょう。しかし、ゆうちょ銀行では2007年10月から教育資金の融資の申込みを停止しています。

そのため、ローンの利用を考えているならば民間の教育ローンやろうきんの教育ローンなどを検討するようにしてください。

9 そのほかのローン

教育ローンや奨学金は審査が必要で、申込めば誰でも借りられるわけではありません。

では、もし審査に通過することができず、教育ローンや奨学金を利用できないことが分かった場合、ほかにどのような手段で借り入れを行えばいいのでしょうか。ここでは、代表的な2つのローンの種類を紹介しますので、参考にしてください。

9-1 カードローン

カードローンとは銀行や消費者金融が提供している個人向けの融資サービスです。資金使途は基本的に自由で、契約時に決定した限度額の範囲内であれば、繰り返し借り入れ、返済できます。

借り入れや返済がコンビニエンスストアに設置しているATMを利用して行えるため、時間を気にすることなく借り入れや返済ができる点が魅力です。初回は借入可能額が低めに設定されているため、教育費の支払いには足りない可能性がある点に注意しておきましょう。

また、金利が高めに設定されているため、利用したら早めに返済することや、余裕があるときには繰り上げ返済も行って利息負担を削減することも忘れないようにしてください。

9-2 フリーローン

必要な都度必要な額を借り入れるカードローンと異なり、最初に必要な額を一度に借り入れる方法がフリーローンの特徴です。有担保型や無担保型が用意されており、有担保型だと金利が低くなります。そのため、追加の融資が必要になった場合には、新たに申込んで審査を受ける必要があります。

金融機関によっては有担保型と無担保型が用意されており、有担保型だと金利が低くなります。また、奨学金のように継続して借りることはできません。

10 教育ローンや奨学金を利用して早めの教育費対策を

教育資金を計画的に準備していたつもりでも、準備していた額では不足することもあります。

そのときには、教育ローンや奨学金の利用を考えましょう。利用する際にはそれぞれの特徴やメリットそしてデメリットをしっかりと理解し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

教育費は受験費用や、入学金など入学前からかかるものもあります。申込みから審査、そして融資実行までの時間を考え、早めに行動するようにしましょう。

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ライター紹介

氏名:
新井智美
保有資格:
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
主なキャリア:
コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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