【第119回】不動産担保ローンはいくら借りられる?評価額から分かる借入上限と審査のポイント
不動産担保ローンは、土地や建物を担保として資金を借り入れる仕組みのため、一般的な無担保ローンよりも高額な融資を受けられる可能性があります。しかし、借入可能額は、不動産の価格がそのまま借りられる金額になるわけではありません。
実際の審査では、不動産の評価額だけでなく、担保掛目(担保評価額に対して何%まで融資するかを示す割合)や年収、返済能力、既存の借入状況、信用情報など複数の要素が総合的に判断されます。そのため、同じ価格の不動産を担保にしても、借入可能額は申込者によって異なります。
この記事では、不動産担保ローンでいくら借りられるのかという疑問に答えるために、借入可能額の目安、評価額からの計算方法、審査で重視されるポイントを整理して解説します。
現実的な借入可能額の目安を把握し、無理のない資金計画に役立てていきましょう。
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1. 不動産担保ローンの借入可能額の目安は?
不動産担保ローンの借入可能額は、担保となる不動産の価値を基準に決まります。
また、一般的なカードローンや無担保ローンとは異なり、担保となる不動産があるため、数百万円から数億円規模まで幅広い融資が可能です。
ただし、不動産の市場価格や査定評価額が、そのまま借入可能額になるわけではありません。これは、金融機関が貸し倒れリスクを考慮し、不動産評価額に一定の割合を掛けて融資可能額を設定しているためです。
ここでは、不動産担保ローンの借入可能額の目安を具体的に解説します。
1-1 不動産評価額の「60%〜80%」が目安
不動産担保ローンでは、不動産の査定評価額をもとに借入可能額が算出されます。
多くの金融機関では、査定評価額の60%〜80%程度を融資上限の目安としています。この割合は「担保掛目(たんぽかけめ)」と呼ばれ、金融機関が設定するリスク管理の基準です。
万が一返済が滞った場合、金融機関は担保となっている不動産を競売や任意売却によって換金しますが、その際は市場価格より低い価格で売却される可能性もあり、さらに売却費用も発生します。こうした売却価格の下振れリスクやコストを考慮し、余裕を持った融資割合が設定されているのです。
担保掛目が60%〜80%ですので、査定評価額が3,000万円の土地の場合、借入可能額はおおよそ1,800万円〜2,400万円程度となります。
ただし、担保掛目は不動産の種類や立地によって変わります。都心のマンションなど流動性の高い物件は80%近くになることもありますが、地方の山林や築古物件などは50%以下になる場合や、担保対象外となるケースもあることを覚えておきましょう。
1-2 返済能力によって借入可能額は変わる
不動産担保ローンは、不動産の価値だけでなく申込者の返済能力も重要な審査基準です。そのため、仮に1億円の価値がある土地を所有していても、必ずしも8,000万円を借り入れられるとは限りません。
審査では主に次のような点が確認されます。
- 年収に対する返済額の割合(返済負担率)
- 信用情報(過去の延滞の有無など)
- 収入の安定性
- 既存の借入状況
審査の結果次第では、担保価値が高額でも融資限度額が減額されることがあります。
なお、不動産担保ローンは「不動産を売却して返済する」ことを前提とした融資ではありません。基本は申込者本人の収入から継続的に返済する仕組みです。そのため、借入可能額を考える際は、不動産の価値ではなく無理なく返済できる額を基準に、現実的な借入計画を立てましょう。
2. 不動産担保ローンの仕組み
不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借り入れる仕組みです。担保があるため金融機関のリスクが低くなり、無担保ローンと比べて大きな金額を借りやすいという特徴があります。
ここでは、不動産担保ローンが高額な資金調達に向いている理由を、仕組みの観点から解説します。
2-1 不動産を担保にするから「数千万円〜数億円」の融資が可能
不動産担保ローンの大きな特徴は、融資限度額の大きさです。
無担保の個人向けローンでは、貸金業法の総量規制によって原則として「年収の3分の1まで」といった制限が設けられることがあり、借入額は数百万円程度に収まるケースが一般的です。
一方、不動産担保ローンでは、不動産の査定評価額を基準に融資可能額が決定されます。そのため、不動産の担保価値が高い場合には数千万円から数億円規模の資金調達が可能になることもあります。
このような特徴から、事業資金や教育資金、複数の借り入れをまとめるおまとめローンなど、まとまった資金が必要な場面では有効な選択肢といえるでしょう。
2-2 無担保ローンより「低金利・長期間」で借りられる
もう一つの特徴は、比較的低金利で長期間の返済が設定しやすい点です。
担保がないローンは、金融機関にとっては貸し倒れリスクが高いため、金利も高めになりやすいですが、不動産担保ローンでは担保があることで融資金の回収見込みが立つため、金利が抑えられる傾向があります。
また、返済期間も長く設定できる場合が多く、金融機関によっては最長20年~30年程度の長期返済に対応しているケースもあります。
返済期間を長くすることで毎月の返済額を調整しやすく、資金繰りに余裕を持たせながら、無理のない返済計画を立てやすい点も特徴です。
3. 借入可能額はどう決まる?3つの判断基準
不動産担保ローンの借入可能額は、不動産の評価額だけで決まるものではありません。
金融機関は主に以下の3つの視点から総合的に審査を行います。
- 不動産の担保評価額
- 担保掛目(融資比率)
- 借主の返済能力
つまり、「担保としての資産価値」と「申込者の返済能力」が重視されるわけです。
ここでは、不動産担保ローンの借入可能額がどのように算出されるのか、それぞれの判断基準とあわせて詳しく見ていきましょう。
3-1 【物件の評価】市場価値をもとに算出される「担保評価額」
借入可能額の基礎となるのが、不動産そのものの価値を示す「担保評価額」です。
金融機関は、不動産が現在どの程度の価格で売却できるかを基準に評価を行います。主な基準項目には以下のようなものがあります。
- 公示地価(国が公表する標準地の価格)
- 路線価(相続税評価の基準となる価格)
- 固定資産税評価額
- 近隣の売買事例
- 不動産市場の動向
これらの情報をもとに、金融機関や不動産鑑定士が物件の市場価値を査定します。
一般的に、立地条件がいい土地や駅近マンション、築年数が浅い物件は評価が高くなりやすい傾向がある一方、再建築不可物件や需要の少ない地域の不動産は評価が低くなる場合があります。
3-2 【融資の比率】金融機関が設定する「担保掛目」
担保評価額が算出されても、その金額をそのまま借りられるわけではありません。そこで用いられるのが「担保掛目(かけめ)」です。
担保掛目とは、担保評価額に対して金融機関が融資できる割合のことです。将来の価格下落リスクや、万一返済が滞った際の売却リスクに備えて一定の余裕を持たせて設定されています。
一般的な担保掛目の目安は以下のとおりです。
- 銀行:約60%~70%
- ノンバンク:約70%~80%
銀行はどちらかというと保守的に、ノンバンクは柔軟に設定する傾向があるため、同じ不動産でも申込先の金融機関によって融資可能額に差が出ることがあることも覚えておきましょう。
3-3 【本人の属性】年収から見る「返済負担率」
もう一つ重要なのが、申込者本人の返済能力です。金融機関は「返済負担率」を目安に、無理なく返済できるかを判断します。
返済負担率とは、年収に対する年間返済額の割合のことで、一般的な目安は、年収に対する総返済負担率で30%〜35%以内とされています。
例えば年収600万円の場合、年間返済額の目安は「600万円 × 35% = 約210万円」です。
なお、住宅ローンやカードローンなど他社からの借り入れも合算して計算されるため、借り入れが多い場合は融資額が抑えられることがあります。
不動産という資産だけではなく、高額な融資は「資産価値」と「返済能力」のバランスが取れてはじめて実現すると理解しておきましょう。
4. 審査基準で借入可能額は変わる|金融機関が確認する4つのチェック項目
不動産担保ローンでは、担保となる不動産の評価額や担保掛目、返済負担率などの数値的な条件に加え、申込者の信用状況や資金管理状況も含めて総合的に審査されます。
ここでは、不動産担保ローンの審査で実際に確認される主なチェックポイントを整理して解説します。
4-1 信用情報(延滞履歴・債務整理など)
金融機関は審査の際に、信用情報機関に登録されている情報を確認します。
そして、過去にクレジットカードやカードローン、携帯電話端末の分割払いなどの延滞があることが分かった場合、返済能力や資金管理に問題があると判断される可能性があります。特に、長期延滞や債務整理の履歴がある場合は、審査が厳しくなる傾向があります。
不動産担保ローンは担保がある融資ですが、金融機関にとって重要なのは「申込者が継続して返済を行える人物かどうか」です。そのため、信用情報は借入可能額や審査結果に影響する重要な判断材料になるのです。
4-2 他社借入と借入件数
不動産担保ローンの審査では、住宅ローンやマイカーローン、カードローンなど、他社からの借入状況も必ず確認されます。
チェックされるのは借入総額だけではありません。借入件数も重要な判断材料です。例えば、合計100万円の借り入れでも、1社からの借り入れなのか、複数の金融機関から少額ずつ借りているのかによって、金融機関の評価は大きく変わります。
借入先が多い場合、資金管理に不安があると判断されることも考えられます。また、実際に借り入れをしていなくても、カードローンの利用枠が残っている場合は「将来的に借り入れが増える可能性がある」と見なされる場合があります。
他社借入の状況は返済能力を判断する重要な指標のひとつだということを覚えておきましょう。
4-3 完済時の年齢制限
不動産担保ローンでは、多くの金融機関が完済時の年齢に上限を設けており、一般的には、完済時年齢が75歳から80歳未満程度に設定されているケースが多くみられます。
例えば、60歳で申込みを行い20年の返済期間を希望しても、完済時年齢の制限によっては15年までしか認められない場合があります。
返済期間が短くなると毎月の返済額は増えるため、返済負担率が高くなり、結果として借入可能額が下がる可能性も考えられます。
年齢は見落とされがちな条件ですが、借入条件や融資可能額に直接影響する重要な要素といえるでしょう。
4-4 勤続年数・収入の安定性
不動産担保ローンの審査では、「現在の収入額」だけでなく、「その収入が今後も継続する見込みがあるか」という点まで含めて総合的に判断されます。
会社員の場合は勤続年数や雇用形態が確認されることが多く、一般的には一定期間以上の勤務実績があるほうが評価されやすい傾向があります。一方、個人事業主や法人経営者の場合は、直近数年の売上や所得の推移などが確認され、事業の継続性や収益の安定性がチェックされます。
また、転職直後や収入が大きく変動している場合は、今後の収入が安定するかどうか慎重に判断される反面、長期間にわたって安定した収入が確認できる場合は、返済能力が高いと評価されるケースもみられます。
5. 担保評価額の計算方法と評価のポイント
不動産担保ローンで借入可能額を考えるうえで、最も重要な基準になるのが「担保評価額」です。
ここでは、不動産がどのように評価されているのか、その算出方法と評価のポイントを解説します。
5-1 土地は「路線価」、建物は「再調達原価」が基本
不動産担保ローンの担保評価では、土地と建物を分けて評価するのが一般的です。
まず土地の評価では、国税庁が公表している「路線価」が基準として用いられるケースが多くあります。路線価とは、主要な道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格を示したもので、相続税や贈与税の計算にも使われる指標です。
一般的に路線価は実際の取引価格(実勢価格)の約80%程度を目安に設定されています。
一方、建物の評価には「再調達原価」という考え方が使われます。これは「同じ建物を現在建て直すとしたらいくらかかるか」という建築コストを基準にした評価方法です。
建物の評価では、再調達原価から築年数による劣化分(減価)を差し引いて価値を算出します。そのため、築年数が古い建物ほど評価額は低くなる傾向があり、場合によっては、建物の価値がほとんど評価されないケースもあります。
5-2 担保評価額の計算手順
不動産担保ローンで「いくら借りられるか」を考えるうえで、まず重要になるのが担保となる不動産の評価額です。
ここでは、不動産担保ローンの借入可能額をイメージするために、基本的な担保評価額の計算手順を紹介します。
5-2-1 土地の評価を算出する(路線価方式)
土地の評価は、一般的に路線価方式をもとに算出されます。
土地の評価額 = 路線価(1平方メートルあたり) × 面積(平方メートル)
例えば、前面道路の路線価が「200C(20万円/平方メートル)」で、土地面積が150平方メートルの場合は、「20万円 × 150平方メートル = 3,000万円」となり、土地の評価額は約3,000万円です。
ただし、実際の評価では次のような条件によって補正が入る場合があります。
- 奥行きが長い土地(奥行価格補正)
- 角地など利便性の高い土地(プラス評価)
- 不整形地など利用しにくい土地(マイナス評価)
このように、同じ面積の土地でも条件によって評価額が変わる点は覚えておきましょう。
なお、路線価は国税庁の「路線価図・評価倍率表」で誰でも無料で確認できるため、事前にチェックしておくとよいでしょう。
5-2-2 建物の評価を算出する(原価法)
建物は、原価法という方法で評価されることが一般的です。これは「今同じ建物を建てた場合の費用」から、築年数による価値の減少を考慮する評価方法です。
建物評価額 = 再調達価格(平方メートル単価) × 延床面積 ×(残存耐用年数 ÷ 法定耐用年数)
再調達単価の目安は次のとおりです。
- 木造:約15万〜20万円/平方メートル
- RC造:約20万〜25万円/平方メートル
法定耐用年数の主な例
- 木造住宅:22年
- RC造マンション:47年
例えば、木造住宅(法定耐用年数22年、築11年=残存期間11年)、延床100平方メートル、単価20万円の場合、「20万円 × 100平方メートル × (11 ÷ 22) = 約1,000万円」で計算されます。
築年数が古い木造住宅は評価が大きく下がり、築30年程度になると計算上は評価がゼロに近くなる可能性があります。ただし、建物の状態が良好でリフォーム済みの場合などは、評価が加算されるケースもあります。
5-2-3 最後に「掛目」をかける
土地と建物の評価額を合計した後、金融機関は「担保掛目(融資割合)」を乗じて借入可能額の上限を算出します。
例えば、土地の評価額が3,000万円、建物の評価額が1,000万円、合計4,000万円の不動産の場合、担保掛目が70%であれば、「4,000万円 × 70% = 2,800万円」が借入可能額の目安となります。
このように、不動産担保ローンの借入可能額は「担保評価額 × 掛目」でおおよその目安を把握できます。
銀行はリスクを抑えるために担保掛目を60%~70%と低めに設定する傾向があります。一方、ノンバンクは独自の審査基準を持つため、最大80%程度まで設定されるケースもあります。
5-3 マンションは「流動性」、戸建ては「土地」が重要
不動産担保ローンでは、不動産の種類によって評価の基準が異なります。
マンションの場合は「流動性」、つまり売却しやすさ(流動性)が重視されます。具体的には、同じマンションや近隣の類似物件の取引事例、駅からの距離、築年数、管理状態などが評価の判断材料となります。
取引事例が豊富で需要が高いマンションほど、担保評価は高くなりやすい傾向があります。
一方、一戸建てでは建物よりも土地の価値が重視されるのが一般的です。日本では建物の価値は築年数とともに下がりやすいため、担保評価の中心は土地になるケースが多いです。
そのため、建物が老朽化していても、土地が広く立地が良ければ一定の借入可能額が見込める場合があります。
このように、マンションは流動性、戸建ては土地の価値が評価の軸になる点を理解しておくことが重要です。
5-4 住宅ローン残債は「担保評価額×掛目」から差し引く
住宅ローンを返済中の不動産を担保にする場合、借入可能額は次の計算式で求められます。
借入可能額の目安=担保評価額 × 掛目 − 住宅ローン借入残高
例えば、評価額3,000万円の物件で担保掛目が80%の場合、担保評価に基づく融資可能額は2,400万円です。仮に住宅ローン借入残高が2,000万円ある場合、担保として認められる金額から差し引かれるため、追加で借りられる目安は約400万円です。
なお、ローン借入残高が担保評価額を上回る状態(オーバーローン)では、原則として追加融資を受けることは難しくなります。そのため、不動産担保ローンを検討する際は、担保評価額と住宅ローン借入残高のバランスを確認することが大切です。
6. ケース別シミュレーション|不動産担保ローンはいくら借りられる?
不動産担保ローンの借入可能額は、不動産の評価額だけでなく、年収や返済能力、既存の住宅ローン残債の有無、物件の所在地や築年数など、複数の要素によって大きく変動します。
ここでは代表的な3つのケースをもとに、不動産担保ローンでいくら借りられるのかを具体的な数値でシミュレーションします。
6-1 年収500万円・評価額3,000万円の借入可能額の目安
評価額が3,000万円の不動産の場合、担保掛目(60〜80%)を基準にすると借入可能額の目安は1,800万〜2,400万円程度です。
仮に掛目70%で計算すると、「3,000万円 × 70% = 約2,100万円」が担保評価から見た上限の目安です。
ただし、実際の借入額は返済能力も考慮されます。年収500万円の場合、返済負担率を35%とすると年間返済可能額は約175万円です。
金利4%、返済期間15年で借り入れる場合、借入可能額は約1,800万〜2,000万円程度が現実的だといえるでしょう。
担保評価の上限より、返済能力の基準が優先される場合がある点に注意が必要です。
6-2 住宅ローン残債がある場合の借入可能額の目安
住宅ローンが残っている場合は、「評価額 × 掛目」− 住宅ローン残債で担保余力を計算します。
例えば、「評価額:3,500万円」「掛目:70%」の場合、融資上限は約2,450万円です。
住宅ローン残債が1,200万円ある場合、追加で借入可能な額は「2,450万円 − 1,200万円 = 約1,250万円」となります。
また、住宅ローンが第一順位の抵当権を持つ場合(すでに優先的な担保が設定されている場合)、新規融資は第二順位となるため、金融機関によっては担保掛目が低くなることがあります。
さらに、既存ローンとの合計返済額が返済負担率を超えると、借入額が抑えられる可能性がある点に注意しておきましょう。
6-3 地方物件・築古物件の借入可能額の目安
地方物件や築年数が古い物件は、都市部の新しい物件より担保評価が低くなる傾向があります。そのため担保掛目が50〜60%程度になることもあります。
例えば、地方の戸建てで「評価額:2,000万円」「掛目:50%」の場合、借入可能額の目安は約1,000万円です。
築古物件では建物の評価がほぼ付かず、土地評価のみで算出されることもあります。
また、再建築不可物件や流通性が低い立地では、金融機関が慎重に審査するため、希望額まで借りられない可能性がある点にも注意が必要です。
このように、不動産担保ローンの借入可能額は、不動産の評価額、担保掛目、返済能力、物件条件によって大きく変わる点を理解しておきましょう。
7. 不動産担保ローン審査で借入額を増やすためのポイント
不動産担保ローンの審査では、事前準備によって借入可能額が変わる可能性があります。
ここでは、借入可能額を増やすために押さえておきたいポイントを3つ紹介します。
7-1 不要な他社借入は返済する
審査では、年収に対する返済負担の割合が重視されます。そのため、利用していないカードローンやキャッシングの利用枠があるだけでも、「将来借りる可能性がある借り入れ」として判断されることも珍しくありません。
例えば、限度額50万円のカードローンを複数持っている場合、それだけで返済負担が大きいと見なされ、不動産担保ローンの融資枠が減額される可能性があるのです。
使っていないカードは解約し、残債がある場合は完済しておくことで、返済比率に余裕が生まれ、審査での評価改善につながります。
また、現在他社からの借り入れがあるなら、できるだけ返済しておきましょう。
7-2 「公図・測量図」を自ら揃えて物件の信頼性を高める
担保となる不動産の評価を高めるためには、物件の情報をできるだけ正確に提示することが重要です。
金融機関にすべて任せるのではなく、土地の境界や面積を証明する書類(公図や地積測量図など)を自ら用意して提出することで、正確な担保評価につながります。
特に築年数が古い物件や地方の土地では、資料が不足しているケースが珍しくありません。境界が曖昧な土地や測量データが古い土地は、将来的に売却が難しくなるリスクがあると判断され、担保評価が低めに設定される傾向があります。
一方で、隣地との境界が明確で、最新の測量図が存在する物件は、金融機関から見て担保としての流動性が高いと判断されやすくなります。担保として売却しやすいと評価されれば、担保掛目が数%程度上乗せされる可能性もあり、それが融資額の増加につながることもあります。
7-3 最低3社の「仮査定」を比較して担保評価額をアップさせる
不動産担保ローンを検討する際に見落とされがちなのが、金融機関ごとに担保評価の基準が異なる点です。
そのため、最初から1社だけに相談するのではなく、少なくとも3社程度に仮査定を依頼して比較することが大切です。複数の評価を確認することで、自分の不動産が市場でどの程度の担保価値を持つのかを客観的に把握できます。
一般的に、銀行は金利を低く設定している分、担保評価が厳しい傾向があります。一方、ノンバンクは独自の評価基準を採用しており、銀行では評価が低くなりがちな築古物件や地方物件でも、比較的高い融資額が提示されるケースもあります。
さらに、複数社の査定結果を比較することで、他社の評価額を交渉材料として提示できる場合もあります。その結果、融資限度額の引き上げや金利条件の改善など、有利な条件を引き出せる可能性もあるでしょう。
8. 不動産担保ローンを利用するときの注意点
不動産担保ローンは、不動産を担保にすることで高額な融資を受けられる可能性がある一方、返済が滞った場合には担保不動産を失うリスクもあります。
だからこそ、申込む前に重要なポイントを理解しておくことが大切です。
ここでは、不動産担保ローンを利用する際に押さえておきたい注意点を整理します。
8-1 「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違う
不動産担保ローンでは、不動産の評価額から借入可能額の上限が提示されます。ただし、これはあくまで理論上の上限であり、実際に借りるべき金額とは必ずしも一致しません。
資金計画を立てる際は、「返済負担率(年収に占める年間返済額の割合)」を目安に考えましょう。多くの金融機関では35%〜40%程度までを審査の基準としていますが、家計の余裕を考えるなら30%以下に抑えるのが現実的です。
【年収500万円の例】
・上限の目安(40%)
年間返済額:200万円
月々返済額:約16.7万円
・安全圏の目安(25%)
年間返済額:125万円
月々返済額:約10.4万円
月々約6万円の差は、教育費や老後資金の準備に大きく影響します。住宅ローンなどほかの借り入れがある場合は、それらも含めて返済負担率30%以内を目安に借入金額を設定するようにしましょう。
8-2 「金利が1%上昇」しても返済できる余力を持つ
不動産担保ローンは借入額が大きくなるため、金利の変動が返済額に与える影響も大きくなります。特に変動金利を選ぶ場合は、金利上昇を想定したシミュレーションが欠かせません。
【借入金額3,000万円・返済期間20年の例】
金利3.0%:毎月の返済額 16万6,379円
金利4.0%:毎月の返済額 18万1,794円
金利が1%上昇するだけで、月々の返済額は約1万5,000円増え、返済総額は約370万円増加します。借入金額を決める際は、「今の金利で返せるか」ではなく、「金利が1%~2%上がっても返済できるか」を基準に考えましょう。
8-3 担保リスクを正しく理解する
不動産担保ローンでは、返済が滞ると、金融機関は担保として提出されている不動産を売却して融資金額の回収を行います。最終的には競売となり、市場価格より低い金額で売却されるケースもあります。
例えば、自宅を担保に2,000万円を借りたけれども、返済が難しい状態になると、督促や期限の利益喪失を経て、金融機関による競売手続きが進みます。そのときの売却価格が1,800万円だった場合でも、残債や遅延損害金があれば、売却後も返済を続ける必要があります。
特に自宅を担保にする場合は、競売によって住まいを失うリスクが伴います。
そのため、「いくらまで借りられるか」ではなく、「返済できなくなった場合の影響」まで考えたうえで利用を検討することが重要です。
8-4 金利・手数料・諸費用を含めた実質的なコストで比較する
不動産担保ローンの金利や諸費用は、借り入れる金融機関によって異なります。
例えば、同じ2,000万円を15年間借り入れる場合でも、金利が3.5%と6.0%だと返済総額は
金利3.5%:約2,600万円
金利6.0%:約3,000万円
と、400万円程度の差が生じます。
また、不動産担保ローンを借り入れる際に発生する諸費用の主なものは
- 事務手数料
- 不動産鑑定費用
- 抵当権設定登記費用
- 印紙税
- 繰上返済手数料
などです。
金融機関によっては、事務手数料が借入額の数%と設定されていることもあり、それが返済総額に大きく影響します。
また、住宅ローンが残っている物件に対して第二順位で融資を受ける場合、通常よりも金利が高く設定される可能性もあります。
そのため、ローンを比較する際は表面金利だけでなく、契約条件を細かく確認し、諸費用を含めた返済総額で判断することが大切です。
9. 不動産担保ローンでよくある質問(FAQ)
ここでは、不動産担保ローンの利用を検討する方が共通して抱く疑問について、その回答も合わせて紹介します。
これから不動産担保ローンを利用しようと考えている方は参考にしてください。
9-1 不動産担保ローンに保証人は必要?
不動産担保ローンでは、原則として保証人を不要としているケースが多くみられます。なぜなら、不動産そのものを担保として設定するため、返済が困難になった際の回収手段が確保されているからです。
ただし、次のようなケースでは、保証人や連帯保証人を必要とされることもあります。
- 共有名義の不動産を担保にする場合(ほかの共有者の同意・連帯保証)
- 配偶者名義の物件を担保にする場合
- 申込者の収入状況に不安がある場合
- 法人契約で代表者保証が必要な場合
9-2 担保評価額が低くなる不動産の特徴は?
不動産担保ローンの借入可能額は「担保評価額」に左右されます。そのため、次のような特徴がある物件は、評価額が低くなる傾向があります。
- 築年数が古い(特に木造で築20年以上)
- 地方や人口減少エリアに所在する
- 再建築不可物件
- 借地権付き物件
- 接道義務を満たしていない
- 流通性が低い特殊物件(旗竿地など)
不動産の評価は金融機関ごとに基準が異なるため、事前に簡易査定を受けることで、より現実的な借入可能額を把握できます。
9-3 親名義の不動産でも利用できる?
親名義の不動産でも、親の同意(連帯保証など)があれば、不動産担保ローンの利用は可能です。不動産の所有者が本人でなくても、所有者本人が「物上保証人」となることで、その不動産を担保にできるからです。
例えば、実家を担保にして子が事業資金を借りるケースなどが該当しますが、この場合、親が担保提供に同意し、契約手続きに立ち会う必要があります。また、高齢の親御さんの場合は、意思能力の確認が行われることも覚えておきましょう。
9-4 審査にはどれくらい時間がかかる?
銀行なら「1ヶ月程度」、ノンバンクなら「最短数日」を目安に考えておきましょう。
不動産担保ローンは不動産の詳細な調査(現地確認や権利関係のチェック)が必要なため、無担保ローンより審査の時間がかかります。特に銀行は慎重な審査を行うため、申込みから実行まで3週間〜1ヶ月程度が目安と言われています。
ノンバンクは独自のスピード審査により、最短2日~1週間程度で融資可能な会社もあります。早く資金を調達したいなら、ノンバンクに申込むのも一つの方法です。
ただ、銀行そしてノンバンクに共通していえるのは、急ぎで資金が必要なら、必要書類をあらかじめそろえておくことで、審査時間が数日短縮できる可能性があることです。
10. 不動産担保ローンは「上限」ではなく「安全額」で判断する
不動産担保ローンでいくら借りられるかは、一般的に「担保評価額×担保掛目」によって目安が算出されます。ただし、この金額はあくまで理論上の上限であり、実際の借入可能額は必ずしも同じになるとは限りません。
金融機関は、不動産の価値だけでなく、年収や既存ローンの状況、返済負担率などをもとに借主の返済能力を総合的に審査します。そのため、担保評価が高い場合でも、返済能力の面でリスクがあると判断されれば、融資額が減額されることがあります。
また、不動産担保ローンでは金利に加えて、事務手数料や登記費用などの諸費用が発生する点にも注意が必要です。
不動産担保ローンは高額資金を調達できる有効な方法ですが、「借りられる上限額」がそのまま「借りてよい金額」とは限りません。万一の収入減少なども想定し、余裕を持って返済できる安全な借入額を基準に判断することが大切です。
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ライター紹介
- 氏名
- 新井 智美(あらい ともみ)
- 保有資格
- ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
- 主なキャリア
- コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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