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【第126回】大学生は年収いくらまで扶養控除の対象?【2026年最新】159万円の壁を解説

2026年10月05日
大学生は年収いくらまで扶養控除の対象?【2026年最新】159万円の壁を解説
「大学生の子どもがアルバイトで稼ぎすぎると、親の税金が増えるのでは?」と心配される保護者も多いのではないでしょうか。
2025年・2026年の税制改正により、大学生年代(19歳以上23歳未満)をめぐる「103万円の壁」は大きく見直されました。2026年は、子どもの給与収入が159万円以下であれば、親は63万円の控除(特定扶養控除または特定親族特別控除)を満額受けられます。
ただし、税金と社会保険では基準が異なります。社会保険のうち、大学生の子どもに関係する健康保険の被扶養者認定では、19歳以上23歳未満の被扶養者について「年間収入150万円未満」が基準となるため注意が必要です。
この記事では、大学生の扶養控除について、2026年の最新制度や本人の税金、健康保険、年末調整のポイントまで解説します。

この記事は約12分30秒で読むことができます。

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    1. 大学生の扶養控除は年収いくらまで?2026年は「159万円」が新基準

    大学生の給与収入と2026年の新基準「159万円」をイメージした、給料袋と電卓の画像

    2026年は、19歳以上23歳未満の子どもの給与収入が159万円以下なら、親は特定扶養控除または特定親族特別控除により、63万円の所得控除を受けられます。ただし、健康保険の被扶養者認定では年間収入150万円未満が基準となるため、両方を分けて考えることが大切です。

    1-1 【早見表】子どもの給与収入159万円まで親の控除額は満額(63万円)を維持

    19歳以上23歳未満の子どもについて、2026年分の所得税では、給与収入が159万円以下なら親の控除額は63万円です。159万円を超えても、197万円以下なら特定親族特別控除によって一定額の控除が残り、197万円を超えると対象外になります。

    子どもの給与収入 親の所得控除
    159万円以下 63万円
    159万円超~164万円以下 61万円
    164万円超~169万円以下 51万円
    169万円超~174万円以下 41万円
    174万円超~179万円以下 31万円
    179万円超~184万円以下 21万円
    184万円超~189万円以下 11万円
    189万円超~194万円以下 6万円
    194万円超~197万円以下 3万円
    197万円超 0円

    ※所得税の控除額です(住民税は控除額・適用時期が異なります)。

    1-2 【年齢別一覧】19歳以上23歳未満のみ給与収入上限が159万円に拡大

    年齢はその年の12月31日時点で判定します。大学生であること自体は条件ではなく、専門学校生や浪人生なども要件を満たせば対象です。

    年齢 親の控除 給与収入の目安
    16歳未満※ なし ―
    16歳~18歳(一般扶養) 38万円 136万円以下
    19歳以上23歳未満
    (特定扶養+特定親族特別控除)
    63万円 159万円以下
    23歳以上(一般扶養) 38万円 136万円以下

    ※16歳未満は扶養控除の対象外ですが、児童手当の対象です。なお、住民税の非課税判定では扶養親族として数えられる場合があります。

    1-3 【2026年改正】基礎控除・給与所得控除の引き上げで上限が緩和

    2026年の税制改正では、基礎控除や給与所得控除などが見直され、扶養親族等の所得要件も引き上げられました。一般の扶養親族は、給与収入だけなら136万円以下が目安です。

    また、19歳以上23歳未満では、給与収入159万円以下なら親は特定扶養控除または特定親族特別控除により63万円の所得控除を受けられます。さらに、159万円を超えても197万円以下であれば特定親族特別控除の対象になります。

    所得税の改正は2026年12月1日から施行され、2026年分から適用されます。11月までの源泉徴収には変更がなく、12月の年末調整などで精算されます。

    なお、給与所得控除の最低保障額は、本則で69万円に引き上げられました。さらに2026年・2027年分については、給与収入74万1,000円以上219万1,000円未満の場合、給与所得を「収入金額-74万円」として計算する特例(実質的に74万円を控除)が設けられています。

    1-4 【重要】税金の壁(159万円)と健康保険の壁(150万円)の決定的な違い

    税金の159万円は、親が受ける控除の基準です。それに対し、社会保険の150万円未満は子どもが親の健康保険の扶養に入れるかどうかの基準です。

    社会保険にはいくつか種類がありますが、大学生の子どもに関係するのは健康保険(公的医療保険)です。150万円未満なら、親の健康保険の被扶養者として保険証を使え、本人が保険料を負担せずに済みます(年金は扶養とは別で、20歳以上は本人が国民年金を納めます。学生納付特例で猶予も可能)。

    そのため、大学生の働き方を考える際は、159万円ではなく150万円未満を一つの目安にすると分かりやすいでしょう。

    注意したいのは、同じ「収入」でも数え方が違う点です。税金の159万円は給与の額面(交通費などの非課税分は含めず)で見ますが、健康保険の150万円は交通費なども含めた年間収入で判定します。

    項目 税金 社会保険(健康保険)
    基準 給与収入159万円以下で親の控除63万円 年間収入150万円未満で親の健康保険の扶養
    対象となる収入 給与収入(額面/交通費は含めない) 年間収入(交通費なども含める)
    主な影響 親の税金 子どもの健康保険(医療)
    超えた場合 親の控除が減少 親の健康保険の扶養から外れる可能性
    制度 所得税・住民税 健康保険(公的医療保険)

    2. そもそも特定扶養控除とは?大学生の親が受けられる63万円控除の仕組み

    大学生の子を扶養する家族と特定扶養控除をイメージした、人形と1万円札の画像

    特定扶養控除は、19歳以上23歳未満の親族を扶養している場合に、親の所得から63万円を差し引ける制度です。
    大学生に限らず、要件を満たせば専門学校生や浪人生なども対象になります。

    2-1 【要件】12月31日時点で19歳以上23歳未満なら浪人生・専門学校生も対象

    特定扶養親族に該当するのは、原則として12月31日時点で19歳以上23歳未満の親族です。そのため、大学生に限らず、専門学校生や浪人生、フリーターなども条件を満たせば対象になります。

    ただし、23歳以上の大学院生は、在学しているだけでは特定扶養親族には該当しません。

    また、親と子が同居していることも必須ではありません。大学進学で一人暮らしをしていても、親が生活費や学費を負担しているなど、「生計を一にする」という要件を満たせば対象になります。

    2-2 【節税額】親の所得税・住民税が年間およそ10万〜17万円安くなる

    特定扶養控除は所得税63万円、住民税45万円の所得控除です。一般の扶養控除は所得税38万円、住民税33万円なので、大学生年代には大きな控除が設定されているといえるでしょう。

    例えば親の所得税率が10%なら、所得税だけで63万円×10%=6万3,000円が軽減額の目安です。20%なら12万6,000円です。

    住民税は原則10%なので、45万円×10%=4万5,000円が目安です。合計すると、所得税率10%なら約10万8,000円、20%なら約17万1,000円の負担軽減になります。

    2-3 【影響】控除で負担が軽減されるのは学生本人ではなく「扶養している親」

    特定扶養控除によって税負担が軽くなるのは、学生本人ではなく扶養している親です。

    そのため、「子どもが稼ぎすぎて損をする」というより、「子どもの所得が増えて親の控除が減り、親の税負担が増える可能性がある」と考えると分かりやすいでしょう。

    ただし、学生本人の税金は、本人の所得や基礎控除、勤労学生控除などをもとに別に計算します。

    世帯全体の手取りを考えるなら、親と子どもの税金を分けて確認することが大切です。

    3. 【2025年度新設の制度】特定親族特別控除とは?「103万円の壁」がなだらかになった理由

    特定親族特別控除で見直された「103万円の壁」をイメージしたカードと観葉植物の画像

    2025年度の税制改正で創設されたのが「特定親族特別控除」です。
    この改正により、19歳以上23歳未満の子どもの所得が増えて特定扶養控除の対象から外れても、親の控除が一気にゼロにならない仕組みとなりました。

    3-1 【背景】給与収入103万円を超えても親の控除が一気にゼロにならない仕組みへ

    改正前は、大学生年代の子どもの給与収入が103万円を超えると、親は原則として特定扶養控除を受けられなくなる仕組みでした。

    そのため、子どもの給与収入が少し増えただけで、親の控除が大きく減ることがあり、いわゆる「103万円の壁」として意識されていたのです。

    2025年度の税制改正では、このような控除額の急激な減少を緩和するため、特定親族特別控除が創設されました。これにより、大学生年代の子どもは一定範囲まで働く時間を増やしやすくなっています。

    3-2 【仕組み】超えた分に応じて親の控除額が「なだらかに減額」される

    特定親族特別控除は、19歳以上23歳未満の子どもが特定扶養親族の所得要件を超えた場合でも、親が一定の所得控除を受けられる制度です。

    2026年分は、子どもの給与収入159万円以下なら63万円の控除を維持できます。159万円を超えると親の所得控除額は61万円、51万円、41万円というように段階的に減少し、197万円を超えると控除はなくなります。

    そのため、現在は「159万円を1円でも超えない」という考え方だけで、年間で働く金額を調整する必要はありません。

    3-3 【段階表】子どもの給与収入が159万円を超えると親の控除はどう減る?

    子どもの給与収入が159万円を超えると、特定親族特別控除は給与収入が約5万円増えるごとに段階的に減っていきます。ただし、一度にゼロになるわけではなく、197万円までは控除が残るのがポイントです。

    子どもの給与収入 親の所得控除
    159万円以下 63万円
    159万円超~164万円以下 61万円
    164万円超~169万円以下 51万円
    169万円超~174万円以下 41万円
    174万円超~179万円以下 31万円
    179万円超~184万円以下 21万円
    184万円超~189万円以下 11万円
    189万円超~194万円以下 6万円
    194万円超~197万円以下 3万円
    197万円超 0円

    ※所得税の控除額です(住民税は控除額・適用時期が異なります)。

    ※159万円以下の「63万円」は、給与収入136万円までが特定扶養控除、136万円超〜159万円が特定親族特別控除によるものです(いずれも金額は63万円)。

    たとえば控除が63万円から41万円に減っても、親の税負担が増えるのは税率10%なら約2万円、20%でも約4万円程度です。「159万円を1円でも超えただけで、世帯全体の手取りが大幅に減る」というわけではないので、働き方は総額で判断しましょう。

    4. 【学生本人向け】いくらまで稼いでいい?自分の「年収の壁」の見極め方

    大学生本人の「年収の壁」をイメージした木製ブロックと円マークの画像

    ここからは、大学生本人の税金を見ていきましょう。
    親の控除だけなら159万円が重要ですが、本人の所得税や住民税、健康保険まで考えると、複数の基準があるため、しっかりと理解しておくことが大切です。

    4-1 【一覧表】本人の税金・健康保険・親の控除が変わる境界線

    大学生が給与収入だけを得ている場合、主に次の金額を確認しましょう。

    年収の目安 主な意味
    103万円~110万円 2026年度分の住民税非課税の目安
    110万円~119万円 2027年度・2028年度分の住民税非課税の目安
    136万円 一般扶養親族の給与収入上限
    150万円未満※ 19歳以上23歳未満の健康保険の扶養基準
    159万円以下 親の63万円控除を満額維持できる上限
    178万円以下 2026年分の所得税の課税最低限の目安

    ※健康保険の扶養基準における年間収入には、交通費なども含む場合があります。

    住民税の非課税基準は自治体によって異なります。また、2027年度分以降は税制改正の影響により、給与収入119万円以下で所得割が非課税となる目安が示されています。

    4-2 【所得税】勤労学生控除は27万円の所得控除|178万円まで非課税となる仕組みとは別制度

    2026年分の所得税では、基礎控除や給与所得控除の見直しにより、給与収入だけでほかに所得がない場合、178万円以下なら所得税などがかからない仕組みです。

    ここで注意したいのは、「勤労学生控除を使えば178万円まで非課税」という意味ではないことです。

    178万円という金額は、給与所得控除や基礎控除などを組み合わせた結果として生じる課税最低限です。勤労学生控除は別の所得控除で、所得税では27万円が控除されます。

    4-3 【住民税】給与収入が一定額を超えると本人に住民税が発生

    住民税は所得税とは別に計算され、非課税となる基準も異なります。

    給与収入のみの場合、2026年度分では約103万~110万円が住民税非課税の目安です。一方、2027年度分・2028年度分では、約110万~119万円が目安になります。なお、勤労学生控除には住民税向けの控除(26万円)もあり、要件を満たせば住民税の非課税ラインも押し上げられます。

    ただし、住民税の非課税限度額は自治体によって異なります。また、所得割が非課税でも均等割が課税される場合があります。総務省も119万円以下について、自治体によっては住民税の均等割がかかる場合があると案内しています。

    そのため、「親の扶養内だから本人の住民税もゼロ」とは限らない点に注意しましょう。

    5. 健康保険の扶養は「150万円の壁」!税金より低い基準に注意

    健康保険の扶養「150万円の壁」をイメージした、150万円表示の電卓と給料袋の画像

    税金の159万円とは別に、大学生年代で重要なのが健康保険の扶養です。
    2025年10月から、19歳以上23歳未満の被扶養者について、年間収入の基準が130万円未満から150万円未満に引き上げられました。

    5-1 【基準】19歳以上23歳未満の特例で健康保険の扶養上限は「150万円未満」

    19歳以上23歳未満の子どもについては、2025年10月以降、健康保険の被扶養者認定における年間収入の要件が150万円未満となっています。

    この基準は「大学生であること」が条件ではありません。厚生労働省は、学生かどうかではなく、年齢によって判断するとしています。

    また、年齢は原則として12月31日時点で判定します。

    税金の159万円より低いため、健康保険の扶養を維持したい場合は、年間収入150万円未満という基準を先に確認することが重要です。

    5-2 【特例】昼間学生は「106万円の壁(勤務先の社保加入)」の対象外

    いわゆる「106万円の壁」は、一定の条件を満たす短時間労働者が勤務先の社会保険に加入する仕組みです。

    ただし、昼間学生は、原則として短時間労働者に対する社会保険の適用対象から除外されるため、一般的な大学生のアルバイトでは106万円の基準は当てはまりません。

    ただし、夜間・通信制の学生などは扱いが異なる場合があります。

    また、勤務先の社会保険に加入しなくても、親の健康保険の扶養認定で150万円未満という基準が問題になるケースが考えられる点にも注意しておきましょう。

    5-3 【リスク】150万円以上になると親の健康保険の扶養を外れ、国民健康保険料の自己負担が発生

    健康保険の扶養から外れると、勤務先の社会保険に加入する場合を除き、自分で国民健康保険などに加入する必要があります。

    20歳以上で勤務先の厚生年金保険に加入していない場合は、原則として国民年金への加入と保険料の納付が必要です。

    ただし、国民年金には学生納付特例制度があり、一定の所得要件を満たせば在学中の保険料納付を猶予できます。

    国民健康保険料は自治体や所得によって異なるため、「年間○万円」と一律にはいえません。扶養を外れる可能性があるなら、事前に具体的な負担額を確認しましょう。

    5-4 【救済措置】一時的な繁忙期での超過なら「事業主の証明」で扶養を継続できる場合がある

    繁忙期などで一時的に勤務時間が増え、年間収入が基準を超えた場合でも、事業主の証明によって健康保険の扶養認定を継続できる場合があります。

    また、2026年4月からは、被扶養者の認定時点で労働契約の内容から年間収入が基準未満であることが明らかな場合、その契約内容をもとに判断する取り扱いも始まっています。

    ただし、実際の認定は加入する健康保険者が行います。収入が増えそうなときは、早めに勤務先や健康保険者へ確認しましょう。

    6. 知らないと損する!大学生のアルバイト年収で陥りやすい4つの注意点

    大学生のアルバイト年収の注意点をイメージした、指を立てて微笑む女性の画像

    年収の壁が緩和されても、「収入の合算」「年齢」「働き方」などを間違えると、想定していた扶養条件から外れることがあります。

    6-1 【交通費】税金では非課税でも健康保険の年収判定にはカウントされる

    税金では、一定範囲の通勤手当は非課税として扱われ、給与収入に含めないのが原則です。

    ただし、健康保険の被扶養者認定では、税法上の非課税・課税とは異なる基準で収入を判定します。交通費を収入に含める扱いになるため、150万円の基準を確認するときは注意が必要です。

    特に年収上限ぎりぎりまで働く場合は、交通費を含めた判定方法を健康保険の保険者に確認しましょう。

    6-2 【掛け持ち】すべてのバイト先の給与が合算され主たる勤務先以外では高めの税率で源泉徴収される場合がある

    アルバイトを掛け持ちしている場合、「メインの勤務先だけで159万円以下なら大丈夫」というわけではありません。

    扶養判定では、基本的にすべての勤務先から得た給与を合計して考えます。

    また、給与所得者の扶養控除等申告書は原則として1か所にしか提出できません。主たる勤務先以外では乙欄で源泉徴収されるため、手取りが少なく見える場合があります。

    ただし、源泉徴収された税額が最終的な税額とはかぎりません。複数の給与収入がある場合は、年末調整や確定申告によって精算されるケースがあるからです。

    6-3 【早生まれ・23歳】12月31日時点の年齢判定で特定扶養親族から外れる

    特定扶養親族の年齢要件は、原則としてその年の12月31日時点で19歳以上23歳未満です。そのため、大学1年生でも、12月31日時点で18歳なら、その年は特定扶養親族には該当しません。

    また、23歳になった年は、大学院生であっても特定扶養親族の対象から外れます。

    早生まれの子どもや、浪人・留年によって年齢と学年がずれている場合は、「大学○年生」という情報だけで判断しないようにしましょう。

    6-4 【業務委託】フードデリバリーなどは「所得」で親の控除を判定

    フードデリバリーや動画配信など、雇用契約に基づく給与ではない収入は、働き方に応じて事業所得や雑所得などとして扱われます。

    給与所得には給与所得控除がありますが、事業所得や雑所得では、収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。

    そのため、「業務委託でも給与と同じ159万円まで」と考えることはできません。

    19歳以上23歳未満の場合、2026年分の所得税では合計所得62万円以下なら特定扶養親族、62万円超123万円以下なら特定親族特別控除の対象となる可能性があります。

    7. 大学生の扶養と「多子世帯の大学無償化」の関係は?

    多子世帯の大学無償化と扶養をイメージした、親と子どもを表す木製人形の画像

    「多子世帯の大学無償化」とは、国の「高等教育の修学支援新制度」(授業料等の減免と給付型奨学金からなる制度)のうち、授業料・入学金の減免を、扶養する子ども3人以上の世帯に所得制限なしで拡大した措置を指します。2025年度(令和7年度)から拡充されました。
    ただし「無償化」と呼ばれますが、減免には上限額があり、上限を超える分(主に私立大学の授業料など)は自己負担になります。必ずしも全額が無料になるわけではありません。
    また、対象になるのは子ども3人以上を「同時に」扶養している間です。長子が卒業・就職して扶養する子が2人になると、対象から外れます。
    つまり、大学生の長子がアルバイトで稼ぎすぎて扶養から外れると、親の税金だけでなく、弟や妹の授業料支援(無償化のカウント)にも影響することがあるのです。

    7-1 【条件】子どものアルバイト給与収入160万円以下なら「扶養する子」としてカウント継続

    日本学生支援機構(JASSO)は、2026年10月分以降の支援区分から、大学生年代である19歳以上23歳未満(18歳早生まれを含む)の子について、合計所得金額95万円以下(給与収入のみなら160万円以下)であれば「扶養する子」としてカウントするとしています。これは税金の159万円とは別の基準です。

    なお、個人事業主の場合は、給与収入ではなく事業所得95万円以下という基準が示されています。

    参考:【給付奨学生】2026年10月の支援区分見直し(2026年度適格認定(家計))|日本学生支援機構(JASSO)

    7-2 【リスク】長子が扶養から外れると下の子の授業料無償化枠も縮小・消滅

    多子世帯の大学無償化では、扶養する子どもの人数が重要です。

    そのため、大学生の長子の収入が増え、扶養する子どもとして数えられなくなると、下の子が支援対象から外れる可能性があります。

    特に3人きょうだいの場合は、長子のアルバイト収入だけを見て判断せず、下の子の進学時期も含めて確認しましょう。

    長子が160万円を超えて扶養の人数から外れると、下の子の無償化にも影響しかねません。世帯全体で早めに進学スケジュールと収入を見通しておきましょう。

    8. 年末調整での書き方!「扶養控除等申告書」の記入ガイド

    年末調整の扶養控除等申告書の書き方をイメージした、申告書の用紙とペン・電卓の画像

    2026年分の年末調整では、特定親族特別控除などの改正に対応した申告書が使用されます。
    国税庁は、2026年12月1日以後に行う年末調整では2026年分の新様式を使用すると案内しています。

    8-1 【記入欄】19歳以上23歳未満の子はB欄「特定扶養親族」にチェック

    19歳以上23歳未満の子どもについては、所得要件を満たせば特定扶養親族に該当します。

    ただし、2026年分は特定親族特別控除も創設されているため、子どもの所得が増えた場合には、特定扶養親族として扱うのか、特定親族特別控除の対象になるのかを確認する必要があります。

    2026年分の年末調整では、国税庁が公表する最新様式を使い、勤務先の記入案内に従って記入しましょう。

    8-2 【金額欄】給与収入(額面)ではなく給与所得控除後の「所得の見積額」を記載

    扶養控除などの判定では、給与収入そのものではなく、給与所得控除後の所得金額を確認します。

    2026年・2027年分は、給与収入74万1,000円以上219万1,000円未満の場合、給与所得を「収入金額-74万円」と計算する特例があります。例えば給与収入159万円なら、給与所得は85万円です。

    実際の申告では、年末時点の見込み額を最新の記載要領に沿って記入しましょう。

    8-3 【留意事項】過少申告や未記入によるリスクに注意

    年末調整の時点で見込んでいた子どもの収入と、実際の収入が大きく異なった場合は、扶養控除などの適用を見直す必要があります。

    申告内容が実際の所得と異なったままになっていると、後から税額の修正が必要になることがあります。アルバイトを掛け持ちしている場合は、すべての給与を合算した年間収入を確認しましょう。

    2026年分の年末調整は制度改正の影響が大きいため、勤務先から案内された最新の申告書と記載例を確認することが大切です。

    9. 扶養を外れてしまったらどうなる?超えてしまった場合の手続き

    扶養を外れたときの手続きや負担をイメージした、がま口財布と電卓の画像

    予定よりアルバイト収入が増えて扶養の条件を超えても、まずは「税金」と「健康保険」のどちらの基準を超えたのかを確認しましょう。
    制度によって必要な手続きが異なります。

    9-1 【親への影響】所得控除が減り、不足分の税金を後から納める

    子どもの所得が増えて親の扶養控除などの条件を満たさなくなった場合、親側の所得控除を見直す必要があります。

    年末調整前なら勤務先に収入見込みの変更を伝え、年末調整後に判明した場合は、確定申告などで税額を精算する必要があります。

    仮に控除額が減れば、その分だけ親の所得税や翌年度の住民税が増える可能性があります。

    ただし、159万円を超えたからといって親の63万円控除が突然すべてなくなるわけではありません。19歳以上23歳未満なら、特定親族特別控除によって段階的に控除が残ることも覚えておきましょう。

    9-2 【子への影響】親の健康保険の扶養から外れ、国民健康保険などへの加入手続きが必要になる場合がある

    健康保険の扶養から外れた場合、勤務先の社会保険に加入するケースを除き、自分で国民健康保険などに加入する必要があります。20歳以上なら国民年金の保険料も本人が納めますが、これは扶養の有無とは別に発生するもので、学生納付特例により在学中の納付を猶予できます。

    ただし、扶養から外れる時期や加入先は、実際の収入状況や勤務先、加入している健康保険者によって異なります。

    「150万円を超えたら自動的に国保」と決めつけず、親の勤務先の健康保険の保険者に確認しましょう。

    9-3 【対処法】気づいた時点で、勤務先での訂正または確定申告を行う

    扶養の条件を超えそうだと分かったら、早めに親の勤務先に相談しましょう。

    税金については、年末調整前なら勤務先で扶養親族等の変更を行い、年末調整後なら確定申告などで修正する場合があります。健康保険については、扶養から外れる時期や必要な届出を確認します。

    申告や届出を放置すると、後から不足分をまとめて精算する必要が生じる場合もあるため、気づいた段階で確認することが大切です。

    10. 大学生の扶養は「税金(159万円)」と「健康保険(150万円)」を分けて管理しよう

    大学生のアルバイトと扶養の管理をイメージした、接客する女性店員の画像

    2026年の大学生の扶養を考えるとき、「103万円」という以前の基準だけで判断する必要はありません。
    19歳以上23歳未満なら、給与収入159万円以下で親の特定扶養控除63万円を維持できます。159万円を超えても、197万円以下なら特定親族特別控除によって親の控除は段階的に残ります。
    ただし、健康保険では年間収入150万円未満が重要な基準です。
    また、子ども本人については、2026年分の所得税は給与収入178万円以下が課税最低限の目安ですが、住民税はそれより低い給与収入から課税される可能性があります。2026年度分は103万円〜110万円、2027年度分・2028年度分は110万円〜119万円が非課税の目安です。ただし、自治体によって基準が異なります。
    さらに多子世帯では、2026年10月分から19歳以上23歳未満の給与収入160万円以下が扶養する子のカウント基準となります。
    つまり、大学生の「いくらまで働くか」は、159万円だけで決めるものではありません。
    「親の税金」、「子どもの税金」、「健康保険」、「多子世帯の大学無償化」の4つを確認して、最終的に世帯全体の手取りがどうなるかを考えることがポイントです。
    年末になってから調整するのではなく、夏から秋の段階で1年間の収入を見込み、必要なら勤務先に確認しておくと安心です。

    大学生の扶養控除でよくある質問(FAQ)

    ここでは、大学生の扶養控除でよくある質問について、回答も併せて紹介します。

    一人暮らし(下宿)の子どもも扶養控除の対象になりますか?
    条件を満たせば可能です。扶養控除では同居が必須ではなく、「生計を一にする」ことが重要です。大学進学で一人暮らしをしていても、親が学費や生活費を負担していれば対象となる場合があります。
    仕送りをしている場合は、銀行振込などの記録を残しておくと安心です。
    給付型・貸与型の奨学金は子どもの給与収入に含まれますか?
    奨学金は、アルバイトの給与収入とは別に扱われます。
    一般に、学費などのために受け取る奨学金は課税所得には含めません。ただし、健康保険の扶養認定は税金とは別のルールで判定されるため、扱いが気になる場合は勤務先や健康保険の保険者へ確認しましょう。
    夫婦共働きの場合、どちらの扶養控除を受けた方がよいですか?
    同じ子どもについて、父母が重複して扶養控除を受けることはできません。
    一般的には、所得税率が高い親が控除を受けたほうが節税効果は大きくなります。ただし、ほかの所得控除などによって変わるため、実際の税額で比較すると安心です。
    海外留学中の子どもは扶養控除の対象になりますか?
    条件を満たせば対象になる可能性があります。
    子どもが海外留学中でも、生計を一にするなどの要件を満たせば扶養控除の対象となります。
    国外居住親族については、親族関係書類や送金関係書類などが必要になる場合がありますので、送金記録などを保管しておきましょう。
    休学している子どもでも扶養控除の対象に入れますか?
    特定扶養親族は「大学に在学していること」が直接の要件ではありません。19歳以上23歳未満で給与収入などの条件を満たしていれば、休学中でも対象になる可能性があります。
    ただし、23歳になると特定扶養親族からは外れるため、年齢と所得をあらためて確認しましょう。
    離婚して別居している子どもを扶養控除の対象に入れることはできますか?
    条件を満たせば可能です。
    離婚後に別居している子どもでも、生活費を送るなど「生計を一にする」関係があれば扶養控除の対象となる可能性があります。
    ただし、父母の双方が同じ子どもについて重複して扶養控除を受けることはできません。どちらが扶養親族として申告するのかを話し合っておきましょう。
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    ライター紹介

    新井 智美
    氏名
    新井 智美(あらい ともみ)
    保有資格
    ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
    主なキャリア
    コンサルタントとして個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン・住宅購入のアドバイス)を行う他、資産運用など上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行うと同時に金融メディアへの執筆及び監修も行い、現在年間200本以上の執筆及び監修をこなしている。これまでの執筆及び監修実績 は1,500本以上。
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